岡山大は9日、医歯薬学総合研究科(薬学系)の50歳代の男性教授が今年5月、コーヒーを飲んだ後に意識もうろうとなり、病院に運ばれたと発表した。現場の飲料物からアジ化ナトリウムが検出され、岡山県警は何者かが毒物を混入したとみて傷害容疑で捜査している。男性教授の容態は現在回復し、通常勤務に戻っている。 5月20日午前7時20分ごろ、薬学部内の研究室で、男性教授がしゃがみこんだ状態で意識もうろうとなっているのを、同学部の大学院生が発見し、救急車で病院に搬送。男性教授が救急隊員に対し、直前に飲んだコーヒーの味の異常を訴えたため、隊員が警察に通報した。 防腐剤や農薬の製造に用いられるアジ化ナトリウムは、1999年に毒物に指定されており、大量摂取すると死に至る。同大では同学部内の毒劇物専用保管庫14カ所で保管していた。いずれも持ち出しには許可が必要で、当時の使用状況については現在点検中という。 同大では事件当日、同学部の教職員に対し、毒劇物の管理徹底をメールで指示。さらに全学部へも同様の注意喚起を行った。また、薬学部内に防犯委員会を設け、飲食物のある部屋の施錠励行や、IDカードの常時着用を依頼した。 会見した田中宏二副学長らは「薬を専門に扱う学部で、このような事件が起きたのは誠に遺憾。当初は事件か事故かの判断がつかなかったが、事件性が高いと判断し、公表に踏み切った。警察の捜査を待ちたい」と話した。