慢性腎不全などの治療で大分県立病院(大分市)に入院していた同市の女性=当時(42)=が死亡したのは医師の過失が原因として、遺族が県に約6900万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が10日、福岡高裁であり、西理裁判長は原告の請求を棄却した一審判決を変更し、県に770万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は2002年11月に入院。担当医は女性に免疫抑制剤「エンドキサン」を投与した。エンドキサンは重い感染症にかかる副作用があり、白血球の減少などの異常があれば投与を中止しなければならない。しかし、担当医は同年12月30日に白血球の数値が大幅に減少していたにもかかわらず、翌年1月2日まで投与を続け、女性は同9日、敗血症で死亡した。
西裁判長は担当医について「エンドキサンの投与を12月30日には中止すべきだったのに、漫然と投与し続けた点に過失が認められる」と指摘した。
原告側は「主張がある程度認められ、評価できる判決だ」とコメント。病院側は「判決内容を検討し、今後の方針を決めたい」としている。
=2008/06/11付 西日本新聞朝刊=