普通の町職員に戻りたい?「熊本のヨン様」1日に引退
観光客らと写真に収まる中神さん(中央)
韓流スターのペ・ヨンジュンさんに似ていると話題になり、「あさぎり町のヨン様」として町のPR役を務めてきた同町職員の中神啓介さん(37)が、6月1日に同町天子の水公園で開かれる花菖蒲まつりへの出演を最後に、「ヨン様」から“引退”することになった。
韓国ドラマ「冬のソナタ」がきっかけで、「ヨン様に似ている」と評判になった。この1年でテレビや雑誌などに60回以上出演、長髪にマフラーを巻いたヨン様姿でほほえみを振りまき、町の特産品や観光地をPRしてきた。
遠くは北海道から中神さんを訪ねる人もおり、03年4月に合併で誕生した新しい町の知名度は急上昇。ただ中神さんは、休日でも町中で声をかけられるなど、プライベートと公務とのはざまで戸惑うことも少なくなかったという。本業は町総務課で町総合計画を担当しており、「一定の役目は果たせた」として、役場業務に専念することにし、髪も短く切ることにした。
愛甲一典町長は「私的な時間も費やすなど大変だったと思う。今度は、町が特産品をしっかり育て、売り出していく番だ」と気を引き締める。
中神さんは31日も、天子の水公園を訪れたツアー客を案内するために、マフラーを巻いて登場。「そっくりー」と声が上がり、記念撮影に応じていた。1日の花菖蒲まつりでは、引退のあいさつをする。中神さんは「今後は裏方として、町民と一緒に町を盛り上げ、違う形で明るい話題を提供していけたら」と話した。
(2008年6月1日 読売新聞)