韓国のテレビドラマ制作会社が世界の美しい古都を舞台に手掛けている人気シリーズの第3弾のロケ地に、奈良県明日香村が選ばれた。古代から日韓交流の地だったことや、「アスカ」という音感や景観の美しさに加えて、知事のトップセールスが制作者の心に響いた。韓流スターも出演する予定で、夏ごろから撮影が始まる予定。同県では今年3月まで放映されたフジテレビ系ドラマ「鹿男あをによし」のロケ地などで観光客が急増したこともあり、大きな“2匹目のドジョウ”に期待を寄せる。
奈良県内を訪れる外国人観光客は韓国が最も多く、平成18年は全体の約3割にあたる約13万人が訪れた。
奈良県では、韓国の番組制作会社「オリーブナイン」が奈良を舞台にする意向を持っていることをキャッチ。荒井正吾知事を団長とする官民混成の訪韓団を結成し、今月ソウル市などでトップセールスを展開。オリーブナイン社も含めた交流会を持ったところ、その場で明日香を舞台にしたドラマの制作が発表された。
同社は、これまでも韓流スターのチェ・ジウさんを起用するなど数々の人気ドラマ制作で知られる。
今回の「アスカの恋人」(仮題)は、2004年の「パリの恋人」、05年の「プラハの恋人」に続くシリーズ3作目で、年末から韓国のテレビ局SBS系で放映される予定。前2作は、ともに視聴率が30%超えを記録する人気だった。
明日香の地は、飛鳥時代から渡来系の氏族が朝鮮半島などから訪れ、先進文化を伝えるなど交流があった。同社側は、こうした歴史的背景に加え「『アスカ』という言葉の響きも美しく、まさにドラマにふさわしい」と話しているという。
異国情緒あふれるラブストーリーとなる方向で、現在台本制作が進んでいる。具体的なキャストは未定だが、同社は、トップ級の人気韓流スターを起用する方針という。
ドラマ制作決定を受け、荒井知事は「韓国とは1000年以上の交流がある。明日香をうまく舞台に使ってほしい」、関義清・明日香村長も「力の限り応援したい」と歓迎している。
同県では「鹿男あをによし」の放映以降、ロケ地を中心に観光客が急増。放映が終了した3月には、ドラマに登場した黒塚古墳展示館(天理市)の入館者数が前年同月比約5・3倍の約7400人、若草山(奈良市)の入山者数は同約2・3倍の約1万5000人、橿原考古学研究所付属博物館(橿原市)の入館者数も約1・9倍の約5000人に膨らんだ。
県国際観光課は「明日香村が韓国人気ドラマの舞台となることで、若者を中心に観光客が増えるのは間違いない。2年後に開催する平城遷都1300年祭にもはずみがつくはず」と期待を寄せている。 |