『蟹工船』からの逆襲−無差別殺人の温床


74歳中村さん、この日に限って親子で買い物 暗転(朝日新聞) - goo ニュースについて.

 亡くなった方にはご冥福を祈るしかないが,この事件の裏側を辿っていくと,幾つか「永山事件」や「池田事件」や「土浦事件」と重なる部分が見えてくる.つまり,明らかな模倣犯であり,マスコミに取り上げられることを最初から意図しているのだ.

 犯人は青森県の進学校を出たが,そのあと進学した形跡がない (NHKの報道では短大にとのことだが).恐らくは家計の事情で働かざるを得なかったのだと思う.しかも普通科で勉強ばかりしてたから,身体が強くなく人間関係も苦手で,自衛隊に入ることさえできなかった.そこで彼は「仕方なく」首都圏へ出稼ぎに行き,あちこち転職を繰り返したことが予想される.現在の住所の静岡県のマンションも悪名高い人材派遣会社日研総業の名義だそうだから,犯人は恐らく近くの自動車工場で塗装工として働いていて,過去一週間前あたりに「いじめ」があって,猛烈な被害者妄想が湧き出たのではないかと考えている.報道では彼の作業服 (つなぎ) がなくてキレたそうだが.

 犯人が秋葉原で事件を起こし,死刑になって国に殺してもらおうなどという甘えた考えを持つようになった原因は,恐らく「池田事件」のことが念頭にあったのではないかと思う.ちょうどアカシアの花が散るときである.そして,わざわざ秋葉原を選んだのは,恐らく彼自身がパソコンを買いたかったからじゃないかという,単純な動機ではないかと考えられる.秋葉原で派手な事件を起こせばマスコミが騒ぐだろうと携帯サイトに書いていたらしいが,本当に実行に移そうと思っていたかどうかは逮捕されて我に返ってからの都合付けのようなような気がしてならない.

 以前に,犯人が秋葉原の街で見た風景は……,自分の給料に匹敵する 十何万,二十何万というパソコンが飛ぶように売れ,大型液晶テレビに五十数万の札束を渡す客の群れだったのだ.4万も6万もする携帯電話も次々に売れていく.派遣社員の犯人にはとても信じがたい光景である.秋葉原は全てがお金で動く.そのことを目の当たりにしてショックを受けたのは,何を隠そう犯人自身ではなかったのであろうか.

ここで言う「札束」はクレジットカードも指す.月給十数万で働かされている派遣社員にとって,クレジットカードで買物をするということは即ち破産を意味する.少なくとも犯人はそういう経済の仕組みだけは知っていたようだ.

 実際,犠牲になったり怪我を負わされたりした人のほとんどが札束を持ったエリートたちである.ここで取り上げた歯医者のじいさんも何の気なしに高価なパソコンを息子や孫に買い与えようと,札束を胸に入れていたに違いない.確かに資本主義社会では札束を持ち歩くことは犯罪にならない.しかし,それを恨みに持って,無差別に殺してやろうと考えた犯人にとっては良いカモで,数人殺せば裁判所へ行ける,死刑になれるという妄想を持っても不思議ではない.

NHKを初めとするマスコミはなぜか東京芸大の優等生の女子学生のことばかり報じて「お涙ちょうだい」をやっている.これは「光市事件」の時にも繰り返し行われた報道のやり方で,仲間を集めてBPOへ訴えようと考えている.彼女が可哀想だったのは他でもない,携帯電話会社のアルバイトで,道路でちり紙を配ってたり宣伝してたりしていたという,労働者扱いされていなかったことに尽きる.つまり,労災は降りないし (携帯電話会社が特例として労災を申請すれば,それはそれで美談になるが),路上でいきなり刺されたのだから,殺され損なのだ.この事件はここまで冷静に見つめないと,とんでもない落とし穴に落ちます

 さらに,裁判所での刑事事件の厳罰化がそれに輪を掛けている.以前から私は「光市事件」に関わり,あれは元少年はでっちあげの「犯人」であり,真犯人は新日鐵の「M氏」であると主張してきた.ところが,広島高裁はその主張の科学的証拠である司法解剖 (法医鑑定書・法医実験結果報告書)を完全に無視して,最高裁へ死刑判決を送った! しかし,これが来年から始まる裁判員制度の前触れだということを裁判の前に報じたマスコミはわずかだった.

しかも,運の悪いことに,この記事を書いた9日は新聞休刊日であった.当然,8日は日曜日だから,人々はまる1日近くテレビとラジオやケータイニュースなど電波媒体以外からの情報をシャットアウトされていた「洗脳」状態だったのである.私のこの記事に寄せられた数多い怨嗟のコメントの多くが,活字媒体を経ないでネットまたは電波媒体から得られた断片的な情報をもとにした感情的なものがほとんどだったのである.憲法や刑法や刑事訴訟法に照らしたコメントは一つもなかった.

 そういう前提を考えると,今回の事件の犯人は確かに無期懲役か死刑かで,「裁判員制度」の良い事例となり,無責任な裁判員は確実に「死刑」を言い渡して,知らんふりをするだろう.植木等が生きていたら,どのようなギャグを言って人々をからかうであろうか.

 しかし,私は無期懲役で「死ぬまで〜死ぬまで〜♪」反省して欲しいというのがホンネである.この犯人を死刑にしてはいけない.そういう意味では現在超党派で審議されている「終身刑」には幾らか期待をしている.

 そして,この犯人を犯罪に駆り立てた人材派遣会社日研総業タコ部屋犯罪,そして美爾依さんも追求している格差社会のあり方も同時に暴き立てるべきである.それができないマスコミは人間の屑だ.タコ部屋は憲法25条違反である!

 早急に,犯罪の温床かつ憲法違反の存在である,自民党・公明党には,政界から引退してもらうべきで,もし衆院に留まるのなら,国民で団結して実力行使も辞さない! ちょうど国民新党が化けの皮を明かして民主党から離れたのを契機にして,民主党・社民党・共産党が選挙協力をして,衆議院も野党連合で埋めてしまうべきだ.

 いらなくなった自民党や公明党の議員は夕張市にラーゲリでも作って,北海道出身の元気な若い陸上自衛隊員の武力でその中に閉じこめて冬を越してもらおう.もちろん油は一切供給してはならない.凍死した仲間の肉を食らい,ダイオキシンたっぷりの脂で暖をとってもらおう.当然,BGM はジェット戦闘機の着地時に相当する大音響の軍歌である(笑) そのくらいの徹底的な弾圧をしなければ,あいつらは国民の辛さが分からない! こういう時に軍隊は必要なのだ.(まじ)

隣人とか
肉親とか
恋人とか

それが何で
あらう

生活の中の食ふと云う事が
満足でなかったら
描いた愛らしい花は
しぼんでしまふ

快活に働きたいと思っても
悪口雑言の中に
私はいぢらしい程
小さくしゃがんでいる
   林芙美子『放浪記』より
コメント ( 2 ) | Trackback ( 2 )
前の記事へ 次の記事へ
 
コメント
 
 
 
吐き気がしました (hanao)
2008-06-09 22:15:25
ブログ主様が同じことをやりそうな感じがして気持ち悪い文章でした。絶対に同じようなことはしないで下さい。このgooIDもこれで捨てます。では、さようなら。
 
 
 
無責任な「観客」たち (kaetzchen)
2008-06-10 10:04:17
 コメントの一つに,このようなものがありました.gooID を捨てるという無責任な行動に出られたので,晒し者にすることにします.


| 吐き気がしました 2008-06-09 22:15:25 hanao hanao117

| ブログ主様が同じことをやりそうな感じがして気持ち悪い文章でした。絶対に同じようなことはしないで下さい。このgooIDもこれで捨てます。では、さようなら。

 (大笑) 私が犯人と同じことをする訳がないでしょ.むしろ,無責任に逃げていった hanao さんの方にこのような無差別殺人を行う可能性が非常に大きいです.

 なぜなら,殺人というのは必ず犯人の殺意があって行われるもの,それでなければ犯人に殺意がなくて偶然相手が死亡してしまったもの,この二つに分かれます.この事件の場合は明らかに前者で,それならばなぜ犯人がそこまで追い詰められられたかを論理的かつ科学的に検証するのが検察官や科捜研などの仕事になります.今回の場合,犯人が携帯ブログサイトに膨大な記録を残しているので,その分析を心理学者や精神神経科医が行って「犯罪心理鑑定書」が作成されます.

 hanao さんはそういったプロセスを無視して,ただ感情論的に「吐き気がしました」と言い捨てています.これは上記の論理的かつ科学的な分析を拒否するものです.言ってみれば,マスコミ報道に「洗脳されてしまった」もので,以前に私がさんざん批判しまくって,結局BPOがあの報道は間違っていたと頭を下げた,光市事件の例とまったく同じことになってしまっているのです.

 皆さん,携帯電話で犯人の逮捕の様子を面白半分に写した人こそ,本来ならば法律に照らせば犯罪者なのです.その画像をNHKが流したことも犯罪です.問題はメディアのありかたにまで染み渡っていることを理解して下さい.
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
コメントをするにはログインが必要になります

ログイン   gooIDを取得する
 
この記事のトラックバック Ping-URL
 
http://blog.goo.ne.jp/tbinterface/46adebe8f45559d99fb7bcdfc71119e8/54

ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません
 
・30日以上前の記事に対するトラックバックは受け付けておりません
・送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け付けておりません
・このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け付けておりません
 
 
秋葉原通り魔は、自公政権がもたらした格差社会が生んだ犯罪 (カナダde日本語)
先日、日本の格差社会の行き着くところ:プレカリアートとロハスという記事で、いまの20代の若者に蔓延する問題について書いたばかりだが...
 
 
 
通常国会、「資本主義の限界」、『蟹工船』ブームについて−CS放送「各党はいま」 志位委員長が語る− (未来を信じ、未来に生きる。)
通常国会、「資本主義の限界」、『蟹工船』ブームについて CS放送「各党はいま」 志位委員長が語る --------------------------------------------------------------------------------  通常国会はどんな国会だったか、「資本主義の限界」は、『蟹工船』ブームの背...