心と体の性が一致しない性同一性障害者の戸籍上の性別変更を認める「性同一性障害者特例法」の改正案が10日、衆院本会議で可決、成立した。「現に子がいないこと」としていた戸籍変更の要件を「未成年の子がいないこと」に緩和した。
同法は03年、性同一性障害に対する社会的認知が進んだことを背景に、超党派の議員立法で成立。「『父である女性』」や『母である男性』を認めると、子が混乱する」などの懸念から、「子なし要件」が盛り込まれた。だが、欧米の同様の法律にはこうした要件はなく、成人した子であれば混乱は少ないなどの当事者団体からの要望を受け、与野党が見直しを進めていた。
「性同一性障害をかかえる人々が普通にくらせる社会をめざす会」の山本蘭代表(50)=東京都港区=は「(子なし要件の)全文削除とはならず、手放しでは喜べない。(子が成人するまで)十数年待つ当事者もいる」と話した。【石川淳一】
毎日新聞 2008年6月10日 19時11分