 映画「神様のパズル」(上)で、強烈な個性を発揮した角川春樹氏(右)と三池崇史監督。(クリックで拡大) |
日本映画に革命を起こしたメディアの寵児、角川春樹氏(66)と、限界無用の破天荒な描写が持ち味の三池崇史監督(47)。鬼才2人が映画「神様のパズル」(公開中)でタッグを組んだ。宇宙を作ろうと挑むカップルのぶっ飛んだSF青春映画である。映画完成までの舞台裏を語り合った。
小松左京賞を受けた同名小説の映画化。宇宙創世に挑む女子大生の野心が炸裂する物語で、壮大なスケールに尻込みする監督が相次ぐ中、エグゼクティブ・プロデューサーの角川氏が三池監督を指名した。
角川氏 崔(洋一)に誰を推薦すると聞くと「三池しかいない」と。いつか仕事をしたいと思わせる強烈な存在感があった
三池氏 子供のころ見たいと思った映画が結果として角川映画。時代を、スターを作っていた。大人になって一緒に仕事するなんて。初めて会ったとき「ホンモノかな?」「こんな声の感じだよな」と、何かバーチャルな存在でした
三池監督は角川映画「復活の日」の潜水艦浮上シーンが印象深いと話す。「今はCGだけど、デジタル以前の時代ではまともじゃ撮れない。どこか狂っていないと」。常識を超越したセンスが人材育成につながっていたという。「今の映画界は人を育てていく方法がない。あと10年、角川さんが暴れないと日本映画界は崩壊する」
角川氏 原作を読んだのは刑務所の中。宇宙を作ろうって話だから普通の監督なら断るだろう
三池氏 主人公のキャラクターを(物理が分からない)自分に近づけた。それを見て見ぬふりをしてくれる。現場にやってきて無言で見ている。こちらの背筋が伸びますよ。毎日来られたら大変。死んじゃう
「神になる」と公言している角川氏はこの映画を作って「近づいたな」と真顔。新しい映画を作るなら、新顔の手応えのある人間と組みたかったと言う。
角川氏 一番近いのは深作欣二か。今の演出家はわりと行儀がいい。
三池氏 ハハハ!
角川氏 オレのこと「絶滅にひんするイリオモテヤマネコみたいな人です」と話すんだ。褒めているかどうか分からないが、笑ったな
 映画「神様のパズル」(クリックで拡大) |
三池氏 角川さんは他の人と生き方が違う。今の映画は、作り方を知らないけれど頭はいい人が作っている。角川さんと会うと、まだ眠っている自分の知らない力が覚醒されるんじゃないかという気になる
ヒロインで天才女子大生役の谷村美月(17)は全編、ほぼジャージー姿。胸の谷間を強調している点に三池カラーがにじむ。
角川氏 蒼井優と同じ素材だ。1年前、谷村を会議に呼んだとき三池がニタニタしてね
三池氏 それ角川さんじゃないっすか!
角川氏 2人ともか
三池氏 角川さんが「この子はいいぞ」と感じていたのが伝わったんです
「会うべくして会った」と三池監督をべた褒めの角川氏は「まだ言えないが、腹の中にはある」と新作に思いをめぐらす。日本映画界はパンドラの箱を開けてしまったようだ。
【映画「神様のパズル」あらすじ】 双子の弟の代理で大学で物理学のゼミに出ることになった寿司職人の基一(市原隼人)。担当教授から飛び級入学の天才少女サラカ(谷村美月)をゼミに誘うよう指示を受ける。サラカは基一の「宇宙は作れるのか?」という疑問に興味を持ち、一緒に宇宙創世の難題に挑む。
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ZAKZAK 2008/06/10