「地域救急拠点病院」整備を提案─厚労省

 厚生労働省の「救急医療の今後のあり方に関する検討会」の第5回会合が6月10日、開かれた。二次救急医療機関について、事務局から「地域救急拠点病院」(仮称)の創設、整備が提案された。また、中間取りまとめの骨子案が示された。7月中にもまとめる方針。

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 事務局はまず、「救急医療対策事業の現況調」のデータから二次救急医療機関の状況をまとめたデータを提示。その上で、「年に救急車を数千台受け入れる施設から、ほとんど受け入れない施設まである」「夜間・休日の対応に当たる医師が1−2人体制である医療機関が7割を占める」などと分析した。
 さらにそれを受け、▽診療体制や活動実績において一定の基準を満たしている二次救急医療機関を地域救急拠点病院として整備▽一定期間ごとに診療体制や活動実績を評価▽評価に応じた支援の在り方を検討─などを提案した。
 同拠点病院の要件として、医師については▽休日・夜間の救急外来担当医師は宿直勤務ではなく交代勤務▽救急外来担当医師は原則、救急外来専従とし、入院患者への対応は別の医師が行う─などを挙げた。
 体制については、▽救急入院優先または専用病床の空床を一日当たり何床か確保▽消防からの照会を受ける専用電話を設置し、受け入れ要請への返答を記録・分析して公表▽休日・夜間にも臨床検査技師らが院内に待機―などとした。また、救急車の受け入れ数か救急車の受け入れ要請総数に対する受け入れ率を要件に加える方向を示した。

 中間取りまとめについては、骨子案を資料として提示し、これをたたき台に議論を進めることになった。骨子案には「一定の枠組みを満たした活動実績のある病院への支援について」という項目で、拠点病院の整備が盛り込まれた。
ただ、帝京大医学部救命救急センター教授の坂本哲也委員は、拠点病院について懸念を表明。「拠点病院を決めることによって、拠点でなくなった病院が地域の救急医療に対して責任がなくなったと思い、救急患者をすべて拠点病院に回してしまうという事態が懸念される。そうなると、かえって救急医療の現場が混乱し、崩壊が進んでしまう。あくまでも現状の仕組みを維持しながら、需要の増大などに対応する形で決めていただきたい」と要望した。


更新:2008/06/10 19:53     キャリアブレイン

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