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キーワード事典・アートマネジメント<1>

(『文化庁月報』 2002年4月号)


文化施設とは何か
伊藤裕夫   
 日頃、私たちは「文化施設」という言葉を何げなく使っているが、 改めてその管理運営する立場から、それはいったい何で、 どのような社会的な目的をもって設置されたものなのか考えてみると、 その曖昧さに驚くことが少なくないだろう。 ある地方公共団体が新しく文化施設を建設しようと計画している、そうしたシナリオを想定して、 文化施設のアートマネジメントの出発点を考えてみよう。

新文化ホール設置基本構想
 関東地方のある中都市で、 いま新しく文化ホールを建設しようという計画が持ちあがっているとしよう。 2年ほど前に策定された長期計画の中に、「文化のまちづくり」が謳われていて、 その主要施策として文化施設の建設があげられており、 昨年度は市民や有識者による基本構想委員会が開かれ、 市民のニーズ調査にもとづき音楽専用ホールをコアにした複合文化施設とすることが提言されたというのが、 その背景である。

 今年度の基本計画委員会では、昨年度の委員会の提言を受け、 地域の音楽団体の代表者や鑑賞団体、教育関係者、その他有識者などが集まり、 施設の具体的な内容や事業の方針などについて検討がなされている。 議論の内容は、大筋以下のようなものである。
「世界の一流オーケストラが来ても恥ずかしくない、音響のいいホールを」
「音楽だけでなく、オペラやバレエの公演も観たい」
「稽古場を数多くつくって、様々な団体に貸し出して欲しい」
「多くの市民が利用できるように、安い料金設定を」等々。

 また最近は少数ながら、次のような声もある。
「公演だけでなく、ワークショップなどの自主事業も」
「市民の運営参加で、もっと地域に開かれたホールに」
「オーケストラとフランチャイズ契約をして、音楽文化の発信基地に」等々。

 そして、こうした様々な声が部分的に採用され、玉虫色の計画案がまとめられていくが、 開館後、それらを実現していくスタッフや事業予算はほとんど明記されることはない…。


文化施設って何だ
 こうした議論を聞くと、わが国では文化施設とは、 ホールや劇場、あるいは展示場といった建物施設で、大きく、
(1)音楽や舞台芸術、あるいは美術など優れた芸術文化を鑑賞する場
(2)地域の様々な文化団体や文化活動をしている市民に貸し出されるもの
といった2つの機能を併せ持つものという通念であったのが、近年になると、
(3)特定の芸術団体や専門家を擁して、地域に文化サービスを提供する機関
という欧米諸国における文化施設の考え方が加わって、 ますますとらえどころのないものとなってきている。

 では、視点を変えて、他の公共施設の場合はどうだろうか。 教育施設や医療施設、社会福祉施設、社会教育施設等々、これらの多くは文化施設と違って、 法律等によりハード、ソフトの条件が定められているなど、 その設置目的や機能、必要な人材や設備のあり方などはかなり明確である(同じ文化施設でも、 美術館は周知のように博物館法で、その設置目的や人材、設備について定めがある)。 そこで、これらを新たに建設する場合は、 一定の枠組みの中で専門的な機能や特徴づけをめぐって議論がなされることはあっても、 ホール型の文化施設のように、様々な要望の寄せ木細工のようになることはあまりないし、 開館後の運営も専門的な人材が確保されているから、 安定した公共サービスの提供は一応は保障されている。

 実際、これらホール型の文化施設(以下「文化会館」と呼ぶ)は、 法制度上は「公の施設」とされ、広く住民の利用に供することが定められているが、 「文化」に関しては言及はない(詳しくは次回で)。 したがって、法制度上の根拠がない以上、 文化会館の運営は一にも二にもマネジメントのあり方次第にかかっていることになる。 しかしながら、マネジメントとは「組織の設立目的を合理的・効果的に遂行すること」であり、 文化会館の設立目的が予め確立されていなければ、それは機能しようがないことになる。

 文化会館を建設する際の基本構想委員会等で議論すべきことは、 施設の形態や個々の設備、あるいは事業の内容などではなく、 この設立目的とそれを実現するための人材等の運営の仕組みであって、 これらが計画レベルで明確化されていることが、文化会館のアートマネジメントがスタートするのである。 (既に活動中の文化施設の場合は、もう一度この原点を明確化することが求められよう。)

この文章は 執筆者及び文化庁より転載許可を正規取得しています。 当サイトからの再転載(孫引き)はできませんので、ご注意下さい。

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Last update: 2002/09/29
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