京都市立小・中学校の教諭9人が、違法な長時間労働をさせられたとして市に計約3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。中村哲裁判長(辻本利雄裁判長代読)は超過勤務そのものの違法性は否定する一方、9人のうち中学教諭の男性1人について残業や休日出勤の常態化を学校側が把握できたと認定し、市側の安全配慮義務違反を認めて慰謝料55万円の支払いを命じた。
9人は03年中にテストの採点や休日の部活動の指導で1人当たり月66〜108時間の超過勤務をしており、「教員の時間外労働を禁じた特別措置法や安全配慮義務に違反する」として04年に提訴した。判決は、超過勤務について市の主張に沿って「自発的な勤務だった側面がある」と述べ、違法性を否定した。ただし、最も超過勤務時間が長かった47歳の男性については「平日は午後8時まで勤務し、部活動の指導で休日出勤も常態化していた。校長は仕事を適正に分配するなどの措置を取るべきだった」と述べた。弁護団によると、男性が指導していた吹奏楽部は外部から校長を介して休日の演奏依頼を受けることも多かったという。
京都市教委の教職員人事課は「市の主張が認められていない点について直ちに控訴したい」としている。