
投稿者
trycomp 投稿日時 2005-1-20 2:15:06 (2568 ヒット)
失跡者酷似の写真男女 韓国在住の脱北者と判明
脱北者が北朝鮮から持ち出したとされる男女の写真が、失跡した2人と酷似していたことから、特定失踪(しっそう)者問題調査会が「拉致されたのは確実」と発表した件で、写真の男女は韓国在住の脱北者で、「拉致被害者でない」と話していることが分かった。調査会が19日、記者会見して明らかにした。写真を調査会に提供したTBSの取材で判明した。
2人は、68年失跡した北海道稚内市の斉藤裕さん(行方不明時18歳)と、77年失跡の鳥取県米子市、松本京子さん(同29歳)。男女の写真をTBSに提供した脱北者は「金が欲しかった」と、間違った情報を渡したことを認めているという。
調査会によると、写真は昨年11月、TBSが韓国内の脱北者から入手した。東京歯科大の橋本正次助教授の鑑定で「酷似している」との中間報告が出たことから、調査会が今月16日発表した。
ところが18日に写真の男女が韓国内にいるとの情報がTBSに寄せられ、2人は「写真の人物は自分。拉致被害者ではない」と答えたという。TBSに写真を渡した脱北者は、76年に失跡した埼玉県の藤田進さん(同19歳)と、62年に失跡した千葉県の加瀬テル子さん(同17歳)に酷似した写真も提供している。
調査会の荒木和博代表は「判断に勇み足があったことでご家族らにご迷惑をおかけしたことをおわびしたい」と話した。また、毎日新聞の取材に、橋本助教授は「TBSが韓国で撮影した映像を見ると松本さんについては耳の形状などから別人と判断した。斉藤さんは否定する材料が見つからず、引き続き精査したい」と話している。(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050120k0000m040109000c.html特定失そう者の斉藤さんと松本さん 写真は別人の可能性高まる特定失そう者の斉藤裕さんと松本京子さんとみられていた写真の人物が、別人である可能性が高まった。
これまで、北朝鮮から持ち出されたとされる写真が、特定失そう者の斉藤裕さんと松本京子さんの可能性があるとされていた。しかし「特定失踪者問題調査会」によると、18日に写真の男女2人が韓国・ソウルに現れ、「自分たちは脱北した北朝鮮出身の人物で、斉藤さんと松本さんではない。日本人拉致被害者とも関係はない」と話したという。
この写真を持ち込んだ人物は「お金がほしかった」と話しているということで、写真も当初、説明していた北朝鮮から持ち出したものではなく、ソウルで撮影したものであることを認めた。
斉藤裕さんの姉・由美子さんは「複雑な気持ち。本当になんだかわからない」と話している。
http://www.nnn24.com/29887.html[[[[[[[[調査会ニュース Vol.209]]]]]](2005.1.19)
■16日記者会見の内容について
特定失踪者問題調査会代表 荒木和博
すでに報道もされていますが、斉藤裕さんと松本京子さんである可能性が高いと判断し、16日の記者会見で発表した2人について、「北朝鮮から流出した写真である」などの事実関係に誤りがあったことが明らかになりました。また、松本京子さんの可能性が高いと発表した女性についてはその後送られた映像などから、橋本正次東京歯大助教授が別人であると判断しました。男性については現在確認中ですが、2人とも自分は拉致被害者ではないと言っています。
この件に関し、橋本助教授の判断は純粋に法人類学に基づいたものであり、それ以外の情報を十分に収集していなかったことは私たちのやり方に不十分な点があったと言えます。この点は反省しております。TBSの報道は拉致問題に積極的な姿勢がある中で結果的にこのような形になったもので、その方向に誤りがあったとは思えません。今後、このことをきっかけにTBSに限らず各社が拉致問題の報道に消極的にならないよう、切に希望する次第です。
下の発表文書にも書きましたが、「絶対に間違えてはならない」というやり方では拉致被害者の情報を得ることも、いわんや救出することもできません。お二人のご家族に期待を抱かせ、お騒がせしたことについては責任を感じていますが、それらの点についてはさらに注意しながらも、今回の反省の上に立って調査を続けて参りたいと思います。今後とも何とぞよろしくお願い申し上げます。
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(本日の記者会見で発表された文書)
平成17年1月19日
1月16日に発表した2枚の写真について
特定失踪者問題調査会代表 荒木和博
去る1月16日、記者会見において発表した斎藤裕さん、松本京子さんとみられる人物の写真について、TBSに対し18日、拉致被害者ではなく、一般の脱北者ではないかとの情報提供があり、現地でTBSが事実関係について調査した。まだ、不確定な要素があるが、現時点で分かっているのは以下の通りである。
記
1、 写真の男女は脱北者であり、現在韓国に在住していることが明らかになった。本人たちは自らがもともと北朝鮮国民であり、日本人拉致被害者ではないと言っている。これについての事実関係は現在調査中であるが、橋本正次東京歯大助教授が当初の写真で分からなかった部分を比較されたことによって、松本京子さんである可能性が高いとされた女性は別人と判断された。男性については酷似しているが、TBSがさらに詳しい確認を行っている。
2、 TBSが写真を提供した脱北者に再度写真について質したところ、昨年10月頃から報道機関に提供した写真の中に拉致被害者でないものを混ぜたことを認めた。
3、 私たちも写真の中に拉致被害者でない人物のものがあることは想像していたが、あらためて調査活動の困難さを再認識した。しかし、情報量の少ない中で拉致被害者を探すのはもともと困難がともなう作業である。写真を提供した脱北者も既に提出した藤田進さん、加瀬テル子さんの写真については間違いなく日本人拉致被害者のものであるとしており、写真の状況の違い等から私たちはこの2人についてはやはり間違いないものと確信している。もちろん、この写真と一致するか否かにかかわらず、斉藤裕さんと松本京子さんが拉致されている可能性は高いと考えている。
4、 私たちの判断に勇み足があったことで、ご家族等関係各方面にご迷惑をおかけしたことについては率直にお詫びしたい。男性についてはさらに確認の必要があるが、いずれにせよ今後はより確実な調査活動を行うべく努力する所存である。ただ、少ない情報から拉致被害者を探していくためには石橋を叩いて渡る方法では不可能である。現在写真の入手をはじめ様々な形で報道関係者等とも連携をとっているが、この活動にブレーキがかからないよう切に希望する。
以上
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News23を見ればわかるようにTBS全体が拉致問題に熱心であるなどとは到底思わないが、この「報道特集」での特定失踪者問題へのアプローチは吉田豊ディレクターによって行われていた。調査会の荒木代表も旧知と認める人である。昨年の藤田進さん、加瀬テル子さんの写真の入手もこの吉田ディレクターの取材の中で生まれたものだが、始めから「写真」の取材をしていたわけではない。他の特定失踪者の情報に関して取材を進めている中でこの情報に接したのである。熱心に取材活動をしたいたからこそのスクープであったわけで、今回はその「熱心さ」が逆に作用したと言える。
「確実な証拠もないのに拉致などと騒ぐな」とは、かつて2002年以前散々言われてきたことである。今、この言葉は特定失踪者問題に対して向けられており、今回の件でますます強まるだろう。しかし、北朝鮮に捕らわれている多数の日本人が存在することは確実である。我々日本人が騒がなければ彼らを助け出すことは出来ない。今後も騒ぎ続けなくてはならない。