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ボーナス160万でも「3年で退職」　若手社員の本音に迫る！（前編）

2008年06月10日09時00分

　4月から入社した新入社員にとっては、この時期は、まさに“鬱”。しかし、まだまだ先は長い! 2年目以降の若手社員ともなると、年がら年中「辞めたい！病」を発症しているのだ。人気業界で働く3人が集まり、会社への文句をブチまける！

A……大手新聞社・広告営業
B……大手IT企業・営業
C……中堅広告制作会社・企画営業

──本日は、入社2年目にして、早くも会社を辞めたがっている（笑）お三方にお集りいただきました。まずはそれぞれ、自己紹介をお願いします。

A　創立百数十年、社員数2000名を超える新聞社で広告営業をやっています。

B　私は、世間的には伸び盛りと言われている、IT企業で働いています。事業内容はコミュニティサービスの企画・開発・運営などです。職種は一応、営業職ですが、そのほかサービスの管理など、やれることはなんでもやっている、いや〝やらされている〟という状況です。

C　広告制作会社で企画営業をやってます。僕だけ大手じゃないから、ちょっと気が引けますね。

──さて、みなさん夢や希望を持って今の会社に入ったと思うんですが、実際に働いてみて、どのようなギャップを感じましたか？

A　入社してまず第一に感じたのは、「ウチの新聞社も安泰じゃない」ってことかな。

B　えーっ?　新聞業界内で、唯一の勝ち組ってイメージだけど……。

A　それが世間のイメージだろうけど、1年間働いてみた僕の実感としては、未来は暗いですね。早いとこ転職を考えないとヤバいですよ。

B　新聞業界全体が落ち込む中、Aさんの新聞社だけ着実に発行部数を伸ばしているって話を聞いたけど？

A　それは本当だけど、あくまで微増。実は会社の業績そのものは昨年から悪化傾向をたどっている。広告なんて長年付き合いのある企業しか出稿してくれなくなってきているから、料金もどんどん値下げしている。自分も含めて同期の何人かは、すでにコッソリ転職活動を始めているよ。

C　でも、今日明日に潰れるような会社じゃないんだから、焦らなくてもいいのに。ウチなんか、建物そのものがいつ潰れてもおかしくないほど老朽化しているから、それこそ急いで逃げないとならない（笑）。

B　一体、どんなビルなのよ？

C　築40年で、ボロボロ。ヒビ割れを隠すためなのか、昭和臭いモザイクタイルがビルの外壁にベタベタ貼ってあって、恥ずかしいったらありゃしない。そしてビルだけじゃなく、社風までも古臭い！

B　どうしてそんな会社に入ったの？

C　大企業で蟻のように働かされるよりも、中小規模ながらもバリバリやれる会社で働こうと就職活動時に思っていて……若気の至りだったと後悔してます。求人広告に書いてあるキャッチコピーにまんまとダマされました！

B　具体的には、どんな言葉にダマされたの？

C　まず「若手にもやりがいがある」というフレーズ。入社してみてわかったんだけど、数年勤めた社員がどんどん辞めていくから、何もかも若手がやるしかない、って意味だった（笑）。社長と幹部が40～50代で、残りのほとんどは20代。30代の中堅が圧倒的に少ないんだよ。

A　バブル世代がダブついているウチの会社とは大違いだなぁ。

インサイダー取引で逮捕者　社内の雰囲気は最悪に……

B　でも、広告業界って楽しそうなイメージがあるけど？

C　外から見れば華やかだけど、やってることは肉体労働と変わらない。求人広告には「社会的価値のある仕事で、時代のうねりを体感できる」とあったから、期待はしてたんだけどねぇ……。時代のうねりを感じるどころか、いつも苦悩のうなり声をあげてますよ。あとは「国内外の最先端のビッグプロジェクトに携われる」みたいなことも書いてあったけど、制作会社なんて所詮は下請け。融通の利かないクライアントにペコペコして、電通や博報堂の人間には見下された態度で指図される。プロジェクトの最末端で、おこぼれを頂いているだけだから、自分が惨めになるばかりですよ……。

B　なにもそんなに卑屈にならなくてもいいでしょう（笑）。

C　いやいや、卑屈にもなりますって。「我が社は、時代を一歩先取りするスピーディーな仕事ぶりに定評あり」なんて謳ってはいるけれど、「情報漏洩防止のため」というワケのわからない理由によって、いまだにパソコンが1人1台じゃないんです！

一同（失笑）

C　だから毎朝、パソコンの前に行列ができる。スピーディーとはほど遠いし、一歩先どころか百歩遅れを取っている。BさんのいるIT企業じゃ、考えられないことでしょ？

B　ウチはむしろ、何事もスピーディーすぎて困りますね。商品がなんであれ、「とりあえず売ってこい!」というイケイケドンドンなベンチャー気質がまだ残っていて。クオリティ管理や、そのプロダクトがお客様にとってどう役立つのか、といった視点がまったくないまま、とりあえずサービスを開始して、それから商品を成長させていけばいい、みたいな無茶苦茶なノリ（笑）。ＩＴ特有の「自由な社風」と言えば聞こえはいいけど、結局は、社員の教育体制、意思統一が整っていないだけとも言える。私は入社早々、海外出張に飛ばされて、商品がなんだかよくわからないまま、外国人相手に営業をやらされましたからね（笑）。

C　自分はついていけないなぁ、そんなノリ……。

B　さらに、ダメとわかれば見切りも早い。開発したサービスを大切に育てていこう、という発想がほとんどない。そんな気質が私には合わず、入社当時は上司とたびたび衝突しましたね。やがて会社も失敗に懲りたのか、現場の声を拾うようになって、最近はようやく良質なプロダクトも扱うようにはなったけれど。

A　でもそういう風通しのよさや、変革があるのは羨ましいなぁ。ウチなんか旧態依然とした軍隊気質がいまだに色濃く残っていて、誰も彼もがノルマにおびえ、上司の顔色をうかがいながら仕事をしている状況だよ。しかも、インサイダー取引で逮捕者が出たあの一件以来、会社の雰囲気がいっそう……あ、こんなこと言ったら、勤務先がバレちゃうか。

C　ウチも体質は古い。バブル期に儲けたワンマン社長の昭和的センスが絶対の正義だから、不合理と不条理がまかり通ってる。自分の仕事がどれだけ早く終わろうとも、先に帰ることがはばかられる空気が蔓延してて、みんなで仲良くサービス残業。こんな会社にいても、スキルアップや成長なんかできっこない！
（構成・ヘドロ岡林／後編へ続く）

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