『内外タイムズ』(1999年8月6日付)
  噂の深層[本誌編集長の連載]

  相次ぐ不祥事に
官僚的対応TBS“ぬるま湯体質”元凶

マスコミ  「秘密乱交パーティー」を「噂の真相」にスッパ抜かれたTBSが世間からの非難を一身に浴びている。この乱交パーティー発覚直後には報道制作局長が痴漢行為で遼補されたり、警視庁記者クラブ所属の社会部記者がふろ場をのぞいてビデオ撮りしている現場で逮 捕されたり、さらに別の痴漢行為が発覚するなど、まさにハレンチ事件の4連発。オウム事件で広く世間に謝罪し、社内改革に取り組むと宣言してきたTBSの姿勢がその場しのぎの世間向けポーズにすぎなかったことがバクロされる結果となった。本来、こうしたハレンチ事件を糾弾する立場の大手マスコミがこのテイタラクでは、何を報道しても説得性に欠けることはいうまでもない。
 TBSだけを責めるつもりはないが、事件発覚後の広報や社長の対応ぶりにもそのお粗末さはいかんなく発揮されていた。タテマエ言説を弄した官僚的対応ぶりに加えて、押しかけた取材陣に対する記者会見でもビデオ撮影は2分間だけ、会見の内容はいっさい録音 禁止を通告。どこぞの問題企業と体質は似たりよったりで、報道機関としてはあってはならない発想を臆面もなく発揮。何がここまでTBSを思いあがらせてきたのだろうか。  「乱交パーティー」にしても、砂原幸雄社長自身が「徹底調査」を命じたものの、その後の調査結果発表はなし。それどころか、今後も発表する予定はないという。唯一、番組を降板させられた局アナのSにしても「フラッシ」や「女性セブン」にパンツ一丁のハレンチな写真が掲載されたことでのやむを得ない事後処理に過ぎなかった。仮にこのパンツ一丁写真が掲載されなかったら、おそらくこの局アナSに対しても知らんぷりを決め込んだ可能性が高い。こうした経営トップの甘い判断が現場においてもタルミを生み出していることに砂原社長は気がつくべきである。オウム事件の質任を取って退陣した前社長に代わり、人の良さだけで抜てきされた砂原社長が世間に対して期待できる回答を出さない限り、退陣はやむを得ないのではないか。TBSはコネ入社が多いことでも知られる。有力者の子弟が多いということが、甘えとおごりにつながっているのではないか。
 有力者の子弟のコネ人社が多いことで知られるのがマスコミの〃陰の帝王〃といわれる世界一の広告会社・電通である。ここの社員が薬物所持で逮捕された際「うちの会社ではみんなやっていること」と語って物議をかもしたことがあった。この社員は自由党・中西啓介氏の子息である。みんなやっているというのは大ゲサにせよ、この社員がそういう印象を持っていたということは会社のフンイキとしてはあったということだろう。これに通じるフンイキがTBSにも知らず知らずに醸成されていたのではないか。
 今回の「乱交パーティー」報道の仕掛人としては何のケジメもつけないTBSに対し、8月10日発売の「噂の真相」で策2弾を掲載し、さらなる追及を続けることを当欄を借りてあるかじめ予告しておきたい。