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たばこ:1箱1000円時代、与野党で増税大合唱 「禁煙進むだけ」の声も

 ◇皮算用、煙に?

 与野党の間で、たばこ税の大幅な引き上げ論が活発化してきた。現行1箱300円程度のたばこ価格を、高い税率をかけている欧米にならって増税し、3倍超の1箱1000円まで引き上げるべきだとの主張で、自民党の中川秀直元幹事長は民主党の前原誠司副代表らと10日、たばこ税引き上げを目指す超党派議連を発足させる。背景には膨らみ続ける社会保障費の財源問題があり、消費税引き上げ論を封じ込める狙いも透けて見える。ただ、たばこ税増税には、政府・与党内に疑問の声も強く、先行きは煙に包まれて視界不良だ。

 紙巻きたばこには現在、1箱(20本)で約175円のたばこ関連税が掛かっている。税収は年約2・2兆円で、仮にたばこ税を引き上げ、1箱1000円にすれば、9兆円近くの税収増になる計算だ。欧米では、たばこ税が高く、英国の代表銘柄の小売価格は1箱1160円。米ニューヨーク市も同817円(いずれも07年1月現在)と日本の2~3倍以上。中川氏は「日本のたばこはまだ安い」と主張する。

 中川氏がたばこ税増税に動き出したのは、消費税に反対し経済成長を重視する「上げ潮」路線を強化するためだ。政府・与党内で浮上する消費税増税論をけん制する思惑がある。

 ただ「たばこの値上げは買い控えや禁煙を広げ、税収の大幅増にはつながらない」(財務省幹部)との見方も強い。1本当たり約1円税率を上げた03年と06年は喫煙者減少で税収はほとんど伸びなかった。大手製薬会社が今年4月に行ったアンケートでも、喫煙者の約8割は「たばこ1箱1000円になれば、禁煙する」と回答している。【赤間清広】

毎日新聞 2008年6月10日 東京朝刊

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