巡視船と衝突した直後の台湾の遊漁船=10日、第11管区海上保安本部提供
遊漁船に乗っていた台湾人を乗せて石垣港に向かう巡視船こしき。先端に傷跡が見える=10日午前11時28分、石垣島沖、本社機から、荒元忠彦撮影
10日午前3時20分ごろ、沖縄県の尖閣諸島・魚釣島から南南東約9キロの東シナ海で、第10管区海上保安本部(鹿児島市)の巡視船「こしき」(966トン、堤信行船長)と台湾の遊漁船「聯合(れんごう)号」が衝突、遊漁船が沈没した。遊漁船に乗っていた台湾人計16人は全員、巡視船に救助された。船長が顔に擦り傷を負った。巡視船の乗組員32人にけがはなかったという。
第11管区海上保安本部(那覇市)によると、尖閣諸島周辺で警戒活動中の巡視船が、日本の領海内に侵入してきた不審な遊漁船を発見。国籍などを確認しようと近づくと、遊漁船はジグザグに航行して逃走した。巡視船が右後方を追跡していたところ、遊漁船が急に右旋回し、巡視船の左船首部分に衝突したという。
遊漁船が浸水を始めたため、巡視船はゴムボートを出して、遊漁船に乗っていた16人を救助。遊漁船は衝突から約1時間15分後に沈没したという。
遊漁船は20〜50トンで、乗っていた16人のうち乗組員が3人、客13人。船長らは「釣りをしていた」と話しているという。こしきは同日昼、沖縄・石垣島の石垣港に入港。同海保は16人の健康状態などを調べたうえで詳しい事情を聴く。
こしきは数日前から、巡視船「もとぶ」とともに、尖閣諸島の周辺の領海警備にあたっていた。