福田政権にまた厳しい審判が下った。沖縄県議選で与党系は高齢者医療などの逆風を受け過半数割れした。全国的な不信の渦を直視すべきだ。一地方選として片づけては、民心の離反が加速する。
「残念な結果になった。ご尽力いただいたことに感謝する」−。県議選敗北から一夜明けた九日の政府与党連絡会議で、福田康夫首相はこう語った。会議の重苦しい空気は想像に難くない。先の衆院山口2区補選に続く敗北。10%台の支持率にある福田政権が浮揚のきっかけをつかめず、もがき苦しんでいる。事態は深刻だ。
自民、公明などの与党側が五議席減の二十二議席だったのに対し野党側は中立も含めて二十六議席を獲得した。自民党を軸とした勢力が過半数割れしたのは、一九九六年以来のことだ。
最大の敗因は、国民の怒りを買った後期高齢者医療制度だろう。野党は連日、党首クラスを投入し、制度批判を繰り広げた。最終盤では廃止法案を参院で可決させる作戦に出た。
防戦を強いられた与党は、テレビCMの放映などで理解を求めた。期間中、保険料の負担軽減につながる改善策もまとめたが、小手先の対応は否めなかった。逆に負担減の世帯割合が全国で沖縄が一番低いという厳しい現実も判明した。自民党支持者だった高齢者たちは「今回は自民には入れない」と陣営に伝えたという。選挙結果は、弥縫(びほう)策では問題解決にはならないことを突きつけた。首相に大胆な決断を求めたい。
値上がりが続くガソリン問題も効いたようだ。地域社会にとっては車は不可欠で、高いガソリン代は家計を直撃する。暫定税率復活によるガソリン値上げへ与党が衆院再可決に踏み切ったことにも「ノー」が突きつけられた形だ。
与党過半数割れで米軍普天間飛行場の県内移設など米軍再編計画への影響も必至だ。首相は選挙結果にかかわらず推進する意向を表明したが、沖縄の声に耳を傾ける作業を怠ってはなるまい。
民意をくみ取れない政党に信頼が集まるはずはない。至極当然のことである。
民主党は早期の衆院解散・総選挙を目指して、十一日にも首相問責決議案を参院に提出する。首相は可決されても無視する意向だ。与党内には今回の敗北で解散がさらに遠のいたとの雰囲気がみなぎるが、それこそ民意に背を向けることになるのではないか。
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