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【主張】秋葉原無差別殺人 治安に強固な街づくりを
またも、不条理な無差別殺人が起きた。東京・秋葉原で7人が死亡、10人が重軽傷を負った事件は、トラックで次々と歩行者をはね、ナイフで襲いかかるという理不尽で想像を絶するものだった。
何が容疑者の男をこのような惨劇にかりたてたのか。警察には徹底した動機の解明はもちろんのこと、事件の社会的背景などあらゆる面からの分析を求めたい。
秋葉原は、以前は電気製品の販売店が密集する地域として知られたが、今や若者の人気スポットの街だ。メイド喫茶など独特の文化発祥の地で、「世界のアキバ」とも呼ばれ、外国人観光客でもにぎわっている。
さらに、つくばエクスプレスの開業も影響して、秋葉原に流入する人口は飛躍的に伸びた。それにつれて、最近の治安悪化も指摘され、地元の警察も警戒を強めていたようだ。
しかし、通行人が多数行き来する歩行者天国にトラックを突入させ、ナイフで次々と刺殺した今回のような事件は、なかなか防ぎ切れないのが現状である。
無防備の市民を無差別に襲う事件は、残念ながら後を絶たない。平成11年に東京・池袋の繁華街で包丁とハンマーを持った男が通行人を襲い、2人が死亡、6人が重軽傷を負った。
この3月にも茨城県土浦市のJR荒川沖駅で、男が包丁で8人を切り付け、1人が犠牲になっている。容疑者が決まって口にするのが、「むしゃくしゃした」「誰でもよかった」という点だ。
秋葉原事件の男も、「生活に疲れた。殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった」などと供述しているという。自暴自棄になっての凶行をうかがわせる。
男は携帯電話のネットに殺人予告し、レンタカーで静岡県から秋葉原までわざわざトラックを運転して犯行に及んだ。用意周到に計画した殺人ともいえる。
わが国は長年、治安の良さを誇ってきた。国民は「治安は警察に任せておけば大丈夫」との認識が強かった。しかし、これだけ凶悪で想定外の事件が頻発したのでは、そうは言っていられまい。
国民一人一人が治安対策に関心を抱き、安全への自覚を持つことが肝要だ。繁華街などは、警察はもとより地元の商店街、地域住民が安全で安心な街をどう構築していくかも喫緊の課題である。