福岡県警の警察官が捜査中に暴力団組員ら4人に襲われ、警察手帳を奪われた事件です。
4人は警察に出頭し逮捕されましたが、所轄の警察署への通報までおよそ1時間かかったことなど、初動捜査のミスについて県警では検証を進めることにしています。
シンナー密売事件の内偵捜査中に暴力団組員らに襲われ、警察手帳を奪われるという前代未聞の事件、これまでに警察側の複数の不手際が指摘されています。
2人が襲われたのは5日午前3時15分ごろ。
しかし、管轄する筑紫野警察署に第一報が入ったのは、事件発生からおよそ1時間後。
緊急配備を敷いたのは、それからさらに30分後でした。
シンナー密売事件の捜査を指揮していた特捜班長は、「警察手帳を奪われた」との連絡を受け、警部補らに筑紫野警察署に向かうよう指示、上司である少年課長も、班長に対して110番通報を指示しましたが、班長も襲われた警察官2人も通報していませんでした。
警部補らは、現場周辺で、奪われた警察手帳を探すことを優先していたのです。
事件からおよそ15分後に、組員らが現場に戻り、警察官2人と再び接触していたこともわかりました。
拳銃を携帯していなかった警察官2人は、組員らを逮捕することが出来ませんでした。
さらに、「警察手帳を捨てる」と言われたため、この後も警察手帳を探し、結果的に通報がさらに遅れたのです。
県警の幹部は、通報の遅れについて「まずい対応だった。もう少し早く110番通報すべきであった」とコメントしています。
逃走した組員らの捜査よりも、警察手帳を探すことを優先したと批判されても仕方のない今回の事件、警察はこれまでに、犯行に使われたとみられる鉄パイプやモデルガンを押収しましたが、警察手帳の記章以外の部分などはまだ見つかっていません。
県警では、「対応について精査していて今後の教訓としたい」としています。