解散・総選挙ですか…
民主党には「自爆テロ解散」などという不謹慎な名前をつけている奴もいるみたいですが、スペインのように本当にテロが起きて選挙結果が操られないことを祈ります(マジな話、防ぐ手立てがないから祈るしかない)。

さて、衆院解散で少年法改正案、障害者自立支援法案など廃案に(8/8 日経)ということはこれも廃案ですよね?

人権侵害救済法案を提出 民主、メディア規制は削除(8/1 共同)
 民主党は1日、政府の人権擁護法案の対案としてまとめた「人権侵害被害救済・予防法案」を衆院に提出した。

 民主党は、政府の人権擁護法案提出をめぐる自民党内の調整を見守っていたが、自民党が今国会での法案提出を断念したため、独自色を打ち出そうと、国会終盤での対案提出に踏み切った。

 救済法案は「報道の自由」に配慮し、政府案に盛り込まれているメディア規制条項は設けていない。報道機関などの「過剰取材」による人権侵害については「自主的な解決に向けた取り組みを行うように努めなければならない」と報道機関に努力義務を課している。

 内閣府の外局として中央人権委員会、都道府県に地方人権委員会をそれぞれ設置し、人権侵害の調査や調停、勧告などで救済に当たる。政府案は人権委員会を法務省の下に設置しているが、民主党は「刑務所内の人権侵害が握りつぶされる」ことを警戒した。(了)

人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案(衆議院サイトより)
【人権擁護法案】 民主党案はどれくらいヤバいのか(カレーとご飯の神隠し)も必読。

まあ、この法案(以下「民主党案」)に賛成したのは私の知る限り部落解放同盟とイタい人約1名だけですけど(あとでみるように、法案推進派の朝日新聞も政府案の問題は「人権委員会の独立性とメディア規制」といっているので、この点について「改善」している民主党案には賛成なのかもしれませんが)。民主党も今回は成立させる気はなかったのかもしれません。今後の展開は総選挙の結果次第なのでしょう。

民主党が法案提出 「救済法」の制定めざして 「解放新聞」(2005.8.8-第2230号)
 民主党が8月1日午後、衆議院に「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案」を提出した。内閣委員会での審議を望んでいる。この「人権侵害救済に関する法案」の特徴は、人権委員会を内閣府の外局におく▽都道府県知事のもとに地方人権委員会を設置▽メディア規制は削除、自主的な救済制度をつくる努力義務を課すなど、7章からなり、78条と附則で構成されている。
 提出後の記者会見で仙谷由人・民主党政調会長はつぎのように語った。
 「与党・政府案が出せない状況になった。差別は人をも殺す。しかし人権を互いに保障しようというところまで日本はいたっていない。法務省の人権擁護局が機能しないなかで裁判所しか救済の手段はない。しかし、経済的、知識、手間ひま、心理的負担など裁判は大変。日本はグローバルスタンダードにもとづき、アジアにパリ原則にもとづいた人権委員会をつくる位置にある。1日も早く人権委員会を確立させねばならない」
 また江田五月・人権侵害救済法に関するプロジェクトチーム座長は、与党・政府案が提案されれば、われわれの案を入れて仕上げたいと思ってきた、としながら「日本に救済制度がないのが一番の欠陥。部落差別をなくそうとの闘いは80年以上の歴史がある。その1つの仕上げとしてこの法案を提出した」とのべた。
 法案は7月27日の「次の内閣」で提出が報告され、その後プロジェクトチームと法務部門会議で提出が確認された。

サクっとコメント。

1.民主党案では中央人権委員会を内閣府に置くので、内閣委員会での審議は当然なのかもしれません。ただ法務委員会が共謀罪でグダグダになっているから、審議時間を確保するため避けたというのは深読みのしすぎでしょうか?

2.仙谷のいうように人権委員会による救済は、本当に裁判よりも簡単・迅速で弊害はないのでしょうか。だったらメディア規制条項が報道の自由を侵害するというのは「心配のしすぎではないか」(C)朝日新聞(笑)
参照:「朝日」紙が国民世論を愚弄する社説。全国人権連が猛省をうながす

3.江田発言をみると、もしこのまま審議に入れば前に書いた人権教育・啓発推進法にみる、部落解放同盟の二股戦略と同じ展開をみたかもしれませんね。(ちなみに「教育」は文部科学省、「啓発」は法務省の所管らしい。幸い(?)どちらも受けたことがないので分かりませんが、なんか税金の無駄遣いな気がする)

民主党案批判はこのぐらいで。ところで結局、マスコミの人権擁護法案報道はメディア規制反対一辺倒で低調だったと思います。

当ブログでは再三書いてきましたが、マスコミは個人情報保護法案と人権擁護法案について勝手に「メディア規制法案」とレッテル貼りしてきました(当初は青少年規制もあわせて「メディア規制3法」といってましたが、これについては都道府県条例で対応するようですね。いま神奈川県ですったもんだしてるようです)。

それなのに前者については城山三郎などを担ぎ出して業界上げての大反対キャンペーンを繰り広げ、後者は腫れ物に触るような扱いだったのはなぜだったのでしょうか。私にはいまだに理解できませんし、この点について、既存マスコミやネットを含めて満足のいく説明に出会えなかったのが残念です。

(ついでにいえば、個人情報保護法案について政府寄りの修正案を提示した読売新聞を、他のマスコミ・ジャーナリストは一斉に猛バッシングしていました。これに対し、少なくとも他の全国紙が人権擁護法案の廃案を主張する中で、ひとり成立に固執する朝日新聞が叩かれないのはなぜなのでしょうか。そんなに業界人にとって朝日新聞は神聖にして侵すべからざる存在なのでしょうか)

「解同の糾弾が怖いから」というベタな理由だとしたら、それこそ報道の自由の危機だと思うんですが。