茶目子の一日
ようつべには色んなモノが転がっているんだが、今回のネタはコレです。
「茶目子の一日」は、大正時代の小學生の女の子、茶目子ちやんが朝起きて朝食を食べ、學校に行つて授業を受け、晩に活動写眞を見に行くといふ一日の樣子を、歌とセリフで綴つたとても樂しい歌です。
(このやうな歌とセリフを交へて物語を語る童謠は、「お伽(とぎ)歌劇」と呼ばれてゐました。かの有名な寶塚歌劇も、(昭和に入りシャンソンたつぷりの西洋風歌劇になる以前の)大正時代は、桃太郎などおとぎ話をベースにしたお伽歌劇が上演されてゐたさうです。)
何度かレコード化及びCD化もされてゐますが、特に昭和4年に発売された平井英子版が一番有名です。童謠歌手、平井英子の舌つ足らずだけどかはいい歌、平井英子と高井ルビーの掛合ひ、二村定一演じるユーモラスな先生など聴き所たつぷりの曲です。また当時童謠はピアノやヴアイオリンなどの伴奏で吹込まれることが多かつたのですが、これは生き生きとして樂しいオーケストラによる伴奏だつたのが特徴でした。
コレを見て「懐かしい」と口に出来る人間はそう多くないと思われるんだが、曲そのものがヒットしたのは1919年、ただし、アニメが作られたのは1931年という事になってます。アニメについては西倉喜代治という人の作品です。テイストとしては、浅草オペラなんだが、浅草オペラというのはオペラと言いつつ、実はオペレッタなわけだ。これも映像がほとんど残ってないので、今ではどんなモノなのか忘れられている。そういう意味では、浅草オペラを偲ぶよすがになるやも知れない。で、
佐々紅華作 平井英子唄う童謡ヒット「茶目子の一日」をアニメーションにしたもの日本最古のアニメは、1917(大正6)年の下川凹天作「芋川椋三 玄関番の巻」とされているとか、それより古い、フィルムに手描きの短い動画が存在するとか言われるんだが、1931年というと、すでに国産アニメが盛んに作られていたわけだ。雰囲気としては、初期のディズニーにも近い。日本人は昔からアニメが好きだったんだなぁ、とつくづく思うんだが、そこら辺もようつべに転がってます。
監督は西倉喜代治
以前触れましたが
大正から昭和初期は童話童謡の勃興期
浅草オペラの佐々紅華らが童謡オペレッタ、子供向けミュージカルを「お伽歌劇」と名付けて売り出した 「茶目子の一日」はその代表曲
実にへんてこな音楽と映像
大正時代はダダと前衛の時代でもあって江戸明治期に対するカウンター文化 サブカルチャーの花ざかりでもありました
建築 パフォーマンス 雑誌「マヴォMavo」
美術に演劇に音楽に 反抗と啓蒙と若者の時代
お伽歌劇アニメーションは和洋折衷の結晶でもありましょう
で、実は、おいら、この曲をそらで全部、歌えます。つうか、ウチの一家は全員、歌えます。子供の頃にこのレコードが転がっていて、よく聞いたもんだ。つうか、レコードはほとんどが浪曲とか端唄・小唄なんぞの邦楽か、さもなければタンゴやフォックストロットといったダンス音楽ばかりで、子供が聞くようなモノはこれ一枚しかなかったような気がする。
ところが、80過ぎの婆さんからおいらまで和気藹々と合唱しているうちに、妙な事に気がついた。
(台詞)という部分があるんだが、ようつべの映像では「ゐざりは大層喜んで」以降がカットされているわけだ。まぁ、例の「言葉狩り」というヤツです。
先生 「茶目子さん、釜盗人を読んで御覽なさい
茶目子 ハイ
此の釜はお前のものに相違はあるまい
早速持つて歸れ
茶目子 と申しました
ゐざりは大層喜んで 其の釜を頭にかぶつて兩手をついて ゐざりだしました
茶目子 役人は後から声をかけて、
こら待てゐざり 釜盗人は其方に極つたぞ
茶目子 と言つて、
下役共に言ひ付けて 縛らせました
- 歌詞に読本の『釜盗人』のシーンで出てくる「ゐざり」(足の不自由な人が膝を擦ったまま歩く事)という差別用語が使用されているため、現在のバージョンでは前後を含め該当部分がカットされている。DVD等で復刻されたアニメ版でも同様。
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イザリウオも言葉狩りの対象なのですね。やれやれ。
投稿 七面鳥 | 2008/06/09 07:48
初代ガンダムのセリフで「めくらまし」が規制にあってました。
条件反射というか、無知というか…。
投稿 こまこ | 2008/06/09 14:15
「どろろ」の場合は、さすがに一般放送では無理でしたが (でも、WOWWOWが一度やったらしい)、DVDではオリジナルのままらしいです。
「時代背景を考慮して」とか「著作を尊重して」とかに、なったりならなかったりする違いは、やっぱり公開する側の「作品への思い入れ」の有無なのかなと。
投稿 こしょく | 2008/06/09 17:05
以前「大菩薩峠」をテレビで見た母と弟が「台詞がカットされすぎて訳がわからず、見るのをやめた」と言っていた。たぶん「めくら」とかが駄目だったんだろう。
10年くらい前に見た「子連れ狼」の再放送もよく音が途切れて、想像するに「百姓」をカットしていたようだ。
「丹下左膳」も「片輪」とか、主人公が「ばけもの」と恐れられたりする台詞がNGらしくて、それでは左膳の哀切が表現出来ず、作品が台無し。
馬鹿もいい加減にして欲しいものだ。
投稿 オリーブ | 2008/06/09 21:47
>「動絵狐狸達引(UGOKIE-KO-RI-NO-TATEHIKI)」は昭和八年(1933年)十二月三十日封切です。古いので著作権期限切れですw。
http://jp.youtube.com/watch?v=WyGvGMa2RFg
【 Japanese Classic Cartoon(1933) 】
>自家用飛行機で日本公演にやって来たベティが日本語で歌声を披露。ベティ・ブープ「ベティの日本公演」A Language All My Own(1935)昭和10年のオリジナルは白黒だが、総天然色カラー版を・・・
http://jp.youtube.com/watch?v=oeYDViXaWUc&feature=related
【 064-Betty Boop-A Language all my own-1935-Colorized 】
投稿 もりへー | 2008/06/09 22:04