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2005年3月 2日 (水)

出版界はヘンな業界

ええと、以下にアップする文章は「デビルマンのあの人が…」のコメント欄で、xtcさんのコメントを受けて俺が書いたものです。でもメインのエントリーとは直接関係ない話題でしたし、コメント欄で埋没するのはもったいなくなったので独立したエントリにしました。では、まずはxtcさんのコメントから再録。

>はじめまして。
>自分の考える最強のオタクのひとりの森博嗣せんせいは、
>いつでも〆切等はきっちりしておられるようです。
>それであのクオリティ。人間とは思えません。
>それで森先生が、〆切を「守らせない」という出版界のシステムは甘いという
>話をしていたのを思い出しました。
>つまり、締切を守った仕事については、被害分を見越して用意していた分を
>報償金として支払う、というような仕組み
>にすればいいのではないか。というような事だった気がしますが、
>竹熊先生はどう思われますか?

これに対する俺のコメントですが、思わぬ長文になってしまいました(現在はxtcさんの書き込みのみを残し、俺の文章は削除してます。以下が俺の答えです)。

【お答え】過去に一人だけ、ライターが締め切りを守った場合の報奨金システムを検討していた編集者を知っています。でも、結局周囲の理解が得られずうやむやになってしまいました。

でも問題は、それ以前のところにあると俺は思います。それはまず、現状の出版界が、ほとんど口約束、いや口約束以前のテレパシーのようなものに立脚した、すこぶる超現実的なシステムで運営されていることです。

たとえばこちらに仕事を発注するに当たって、お金の話をまずしない。こちらから聞いて、ようやくしぶしぶ教えてくれるならまだしも、「上に聞かなければわかりません」なんてこともよくあります。いやへたすると、上に聞いてもわからないことすらあるのです。

そのくせこちらが締め切りを破ると、鬼のような催促をするとかですね。でもちょっと待ってくれ、それ以前に、これって「仕事」の体をなしてないだろうと思うわけです。仕事であるからには、納期だけではなく「対価」についてあらかじめ確定してはじめて仕事と呼べるんじゃないかと。

まれに、依頼の時点で原稿料の額を向こうから言ってくる場合もありますが、こうなると人情として、そっちがはっきりしている仕事を優先させたくなりますよね。最近は、若い編集者を中心にこういう人も増えてきたような気がします。気のせいかもしれないですが、いい傾向です。でも今でも全体としてお金の話はしないし、昔は本当にしませんでしたね。

こういう話をすると、出版界以外の人には不思議な顔をされるんですけども、僕も25年近くこの業界で仕事をしていて、今でも不思議でなりません。

へんな業界だと思いませんか。

↑に補足。

そういえば、原稿料ってもらう側ではなく、支払う側が決めるんですよね。これも珍しいかも。それで実際に支払われるまで、いくら振り込まれるのかわからないのでドキドキすることもあります。

投稿者: たけくま (3月 1, 2005 10:23 午前)

【追記】ただこういういい加減さは、ライターサイドにとって都合のいいこともあったりしますけどね。そもそもお金の話をしないわけだから、多少締め切りを破ったところで、いや落としたとしても罰金とか発生しませんしね。仕事は来なくなるかもしれませんが。

※つづく→

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コメント

>現状の出版界が、ほとんど口約束だけの、
>極めていい加減なシステム(?)で運営されていることです。
これで思い出したのが、
『R30::マーケティング社会時評』
『日本の出版社には市場価値がない件について』
http://shinta.tea-nifty.com/nikki/2005/02/ghibli.html
以下そこからの引用。
>「日本の出版会社を買収しようと思っていろいろとサーベイしたのだが、
>これまでに発行した書籍やコミックの権利をきちんと社内で管理していない
>(つまりすべては社員編集者と作家さんとの間の口約束のレベル)ので、
>資産評価のしようがなかった」
>と言って頭を抱えていたのを覚えている。
なんだそうです。

投稿 naga | 2005年3月 2日 (水) 02時53分

はじめまして。出版業界って原稿料だけでなく印税に関してもいい加減だということをよく耳にしますが実態はどうなんですかね。昔出した単行本が作者も知らないうちに重版されてたのに、当時の担当が退社してたせいで印税が支払われて無かったとか…。
ちなみに某漫画家先生が最近、海外から依頼されて描いたイラストの原稿料が何時までたっても支払われないので問い合わせたら「まず請求書を送れ」と言われということを日記に書いていましたが、日本でも広告業界とかそこら辺しっかりしてるのに出版業界は今後もこのままなんでしょうか。

投稿 koo | 2005年3月 2日 (水) 03時00分

昔の日本では尊敬される職業、つまり教師や作家などの“先生”に対して、金銭の話をするのは失礼だという意識があったようです。
その意識というか慣習が残っているんでしょうね。

投稿 空 | 2005年3月 2日 (水) 04時05分

著作権法はむしろ縛りとしての機能が強く
悪法でないかという声があるようですが
悪いのは法ではありません
ろくに契約書を作らないことで問題が起きることがほとんどだそうです

ここで問われていることを多少でも変えるには
大物とされるひとたちが契約を率先して行い、できれば例示のひとつもしてくれることですよね

マンガ業界でしたら松本零士氏とか、文筆業だったら井上ひさし。あるいはちょいと外して筒井さんとかがそういうのやってくれないかな。

ちなみに契約書を作っても払ってもらえないことはありまして、私英語の大仰な契約書にサインさせられたにも関わらず、3年たっても何も送ってきませんUSAの某社

投稿 ああ | 2005年3月 2日 (水) 05時06分

すげえいい加減な業界だということは心から同感です。

昔ゴーストライターをやっていたことがあるんですが、同じ雑誌で3回書いたのに原稿料が3回とも全然違っていて、かなり驚いた覚えがあります。

投稿 しんざき | 2005年3月 2日 (水) 10時23分

シメキリ守りで早かった作家ということでは
流行作家だった川上宗薫だと聞いたことが
あります。
マンガ誌の記者が、多分遅れると思い
かなりサバを読んで早め設定で依頼しておいた。
で、その日に電話してみたら、とっくに出来て
いるということでビックリだったそうです。
小説の方はどうか知りませんが。

ぼくは「まんがNo.1」の編集で原稿取りを
やって、大いに苦労しましたから、
シメキリは守るようにしていますね。
それ以前の貸本時代も、だいたい守って
いたらしい。(つがる団平の証言アリ)

超多忙時代のフジオプロも、週刊誌が
中心ですから、99%以上守っていました。
月刊は少し迷惑された担当もいたかも。

珍しい例では、学研の書き下ろし
古典マンガシリーズ。
赤塚が興味無く、全然描かない。
それで企画した横山孝雄が、版元の
学研から損害賠償請求すると言われ
自分で書いた。
彼が退社するひとつの原因になった。

印税支払いでは、部数の印刷証明書が
送られてきたのは角川書店だけでした。
(ぼくがマネージやっている期間で)
他社は振り込んできて、部数は
<信じろ>ということ。
これも、アメリカ人には信じられぬ
やり方でしょうね。

白土三平さんは、小学館で連載されて
いたとき、1回ずつ原稿を渡すとき
稿料をその場で小切手で受け取って
いたと、編集者から聞きました。
(マネジメントの岡本さんは大ベテラン
のかたでしたが…。休筆中の7年間を
旧作の度重なる刊行で、白土を食わせて
きたんだよ~と、ご本人からうかがった
ことがあります。)

投稿 長谷邦夫 | 2005年3月 2日 (水) 10時57分

徳間書店に勤めていましたが、一応、書籍発行時には契約書を交わしていました。原稿料は口頭で事前説明でしたね。カットなどの原稿料は、目安だけの説明でしたが…。

単行本化権は特に持たずに進行するのが徳間では常だったみたいで(作家に帰属していた)したが、部数証明書は作家さんによって出たり出なかったりだったようです。

最近の出版社では伝票発行がなく、コンピュータ管理されているデータベースにアクセスして確認する会社も多いようです。これだと事前に支払日がわかるので、少し安心です。

請求書を送るよう言われる出版社もありますが、たいがいは事務処理をカンタンにしたいなどの理由で、お金の流れを一本化させるための場合が多いようです。特に意地悪な意図はないと思いますし、むしろ最近は、請求書を書いてもらって決済する出版社のほうが多いのではないでしょうか。

投稿 さあにん | 2005年3月 2日 (水) 11時18分

>長谷先生
印刷部数ですが、あのへんは本当に「信用」しかないですよね。昔、ある超ベストセラー(240万部)をだした人から直接聞いたんですが、その本、著者に無断で30万部も多めに出版されていたことが発覚したんだそうです。(長谷先生もよくご存じの、あそこです(笑))

そのときは営業部長が社長とケンカして退社し、暴露本を出したんでバレちゃったんですね。それでベストセラー著者氏が弁護士雇って「帳簿を全部見せろ」と内容証明を送ったと。一応、著者の権利として版元に開示請求が認められているらしい(僕はその話を聞くまで知りませんでした)。

そうしたら、先方の社長が土下座せんばかりに謝ってきて、「とにかく帳簿開示だけは勘弁してくれ」と、それで30万部より数万部多い印税額を振り込んできたんで、示談に応じたそうです。

まあ、この場合は元々の部数がデカ過ぎましたし、退社した人間の暴露で露見したというレアケースだと思うんですが、それでも30万部の誤魔化しというのは耳を疑いますよね。でも普通、著者がそれを知ることはできないわけです。他の版元は、そこまでメチャクチャはしてないだろうと信じるしかないですよね。

あと白土三平さんは、休筆はともかくとして、締め切りはきっちり守る人だと聞いたことがあります。あと白土さんの赤目プロで思い出すのは、初期の「サスケ」のコミックスなどでしっかり「検印」用の赤目プロの印紙が貼られていたことです。

60年代くらいまでは、まだ検印を押す著者もいたと思うんですが、フジオプロとか、初期はどうだったんでしょうかね。ここ40年くらいは「検印廃止」が普通ですけど、あれを復活させれば部数の誤魔化しようはないでしょう。

まあ何万冊も印紙貼ってハンコ押すのは大変でしょうけど(笑)。

投稿 たけくま | 2005年3月 2日 (水) 12時28分

>さあにんさん
新興の版元などでは、請求書を切ることがあります。リクルートがそうでした。

僕の場合、今でも大部分の版元には請求書を出しませんが、そういわれれば、年に何回かは要求されることがありますね。少しずつ増えては来たんでしょう。ただ普段切り慣れてないから、ちょっと面倒なんですけど、安心感がありますね。

投稿 たけくま | 2005年3月 2日 (水) 12時38分

そういえば裁判にもなってるまんだらけのさくら出版原稿大量買取事件関係のHPでそういう話題が出ていましたねえ<出版契約云々の話

漫画家さん自身の連帯感があまりにも薄いのと常識欠如な方が多いせいで何だかうやむやの感もありましたが。正直出版関係の方々がなんであんなに契約書締結を嫌うのかは謎なんですけどね。

投稿 mgkiller | 2005年3月 2日 (水) 13時46分

『おそ松くん全集』(曙出版)のときは
フジオプロの証紙を発行していました。
全巻だったかは記憶にありません。

この時期は、赤塚のお父さんが経理を
やられていて、なぜ証紙を発行することに
なったかは分りません。
お父さんは、ガリ版を切って「おそ松くん」
ファンクラブ<六つ子クラブ>の会報に
宣伝を入れ、フジオプロでも販売し協力し
ていました。それでかも知れません。
60年代後半ですね。この方式は
自然消滅してしまったように思います。

投稿 長谷邦夫 | 2005年3月 2日 (水) 13時48分

はじめまして。
邪推ですが、多くの場合作家の手取りより編集者の給料の方がが多いので、編集サイドとしては、あんまり触れたくない話題なのではないかと…。

投稿 サーモス | 2005年3月 3日 (木) 01時37分

いつのまにか自分の拙いコメントなど取り上げて頂いて、ちょっと焦ってますw
ええと、元のソース思い出しましたので、
一応貼っておこうかと思ったんですが、ダヴィンチ関係の執筆のようなのでご迷惑をかけたくないと思いまして、
ソースの情報だけ書いておきます。
ttp://www.mf-davinci.com/mori/
2004年10月25日更新 VOL.150
ライターにとって都合が良いというのは良くわかります。だから余計に改善が進まないんでしょうね…。どうやら、表面的にはビジネスという形式を模倣して、内側ではビジネスとしての基本すらなっていないということのようですね。もしかしたら、本を読む人口が少なくなったとかそういう以前に、内面の機構自体を見直す時が来ているのではないでしょうか。追い込まれている出版界がこの問題に早急に取り組まなければ、自滅は時間の問題であるのではないかと思います。

浅学の自分にとって大変勉強になりました。ありがとうございます。

投稿 | 2005年3月 3日 (木) 03時28分

↑名前記入ミスです。すみません

投稿 xtc | 2005年3月 3日 (木) 03時36分

>xtcさん

どうもです。出版業界のシステムはさまざまな欠陥を抱えつつも、実はなかなか面白い問題も提起しているんですね。

というのは、創作を含む知的生産物の対価を、はたしてどのように決めればよいのか? という難しい問題があるからです。

普通の製造業や、マニュアルが成立するタイプのサービス業とは違って、たとえば文章原稿などは同じ文字数でも中身は毎回すべて違います。というか、前回と同じ原稿を提出したらそれはお金を払う読者に怒られますので、必ず内容は違うものにしなければならないわけです。

またかかる労力も毎回違います。同じ5枚の原稿でも、1時間で書けるときもあれば一週間かかることだってあります。ということは、本来一点モノである原稿は、毎回値段が違っても不思議ではないのです。

編集者がはっきり値段を言わない(言えない)のは、文章仕事のような知的生産活動が本質的に資本主義の経済原則にそぐわない面があるから、という考え方もできるわけです。

本質的に値段のつけようのないものを、なんとか経済のサイクルに乗せねばならないのが編集者で、もともと矛盾をはらんだ仕事なんですよ。

でもまあ、それでみんなオマンマを食べている以上、もう少しはっきりして欲しい、なんとかならないかと思うのも本音ではあります。この問題は面白いので、またとりあげるかもしれません。

投稿 たけくま | 2005年3月 3日 (木) 11時08分

ずいぶん昔の話なのですが・・・(20年くらい?)
神田の高○書店の店長さんが、森○塔氏の「よ○子の性○育」という本を床から20冊ほど積み上げたとき、版が変わっていないのに以前と高さが違っているのを発見し、出版社が作家にないしょで再販していたのがバレた・・・、というのを思い出しました。

漫画家に本当の印刷部数が分からないというシステムあたりにも、出版業界の火種が残っていそうですね。

投稿 幸 | 2005年3月 3日 (木) 14時12分

↑ある意味、そこはタブー中のタブーですからね。このへんになると、現場の編集レベルではまずわからないと思います。

以前『マンガ原稿料はなぜ安いのか?』の関連イベントで「コミックビーム」の奥村編集長と対談したんですが、「出版社の経理に関しては、大手でもトップの数人しか本当のところはわからないだろう」と言ってましたよ。ひとつには、ほとんどが非上場企業で占められている業界の特異性もあるのでしょうね。上場しているのって、学研とか福武書店、あと角川書店とか数えるくらいだし。

投稿 たけくま | 2005年3月 3日 (木) 14時28分

幸さんの↑例に似たことがありました。
赤塚不二夫1000ページなる本を
話の特集社から刊行し、西武デパートで
サイン会をやったとき、赤塚が「おい
長谷、この本の紙が替わってるな」と
いうのです。
どうも再版したらしいのに、そんな話しは
アリマセンでした。

第一、この本を出すにあたって、矢崎泰久
は、資金を出してくれと赤塚に、印刷所の
見積書を持ってきました。
その金額が700万円!
巨額なので、マネージをやっていた横山が
曙出版に見積ってもらったら350万円で
箱入りが出来るというのです。
講談社の見積もりでも400万円。

明らかに矢崎さんは350万円をポケットに
入れ、シランプリするつもりで、インチキ
見積書を書かせた。
それでも人のいい赤塚は出してやれと言い
350万円を出したんですよ。

後に、フジオプロが経理の使い込みで
破産状況になってしまったとき、
国税庁の役人が調査にきて、この本の
出資に対する利益は「どこに隠し預金した?」
と、迫られました。

話の特集社へ行って下さい、1円も貰って
居ません!というと、信じられんという顔
をしていました。当然ですよね。
こんなことが有って以来、矢崎氏のことが
ぼくは信じられなくなった。
「まんがNo.1」は彼の紹介で、彼の父親の
口座を使った出版だったのですがね。
何か、二重に裏切られた気持ちが今でもして
います。
矢崎さん、今でも特集復刻本出したりしているので、あまり内実は書かなかったんですが…。

出版のいい加減さという話で、思わず書きました。ケーススタディということで、こんなコト
もあるということです。
書き手は本の原価など関心がないため、素人と
してみくびられたということでしょうね。

投稿 長谷邦夫 | 2005年3月 3日 (木) 17時27分

これは生々しい話だ。「赤塚不二夫の1000ページ」は僕も持ってますが、たしかにだいぶ後になって紙質の微妙に違う本が本屋に並んだので、てっきり再販したものと思ってましたよ。うーん……。

ただまあ、こういうケースはレアなものだと思いたいですけどね。現在、本の90%は初版で終わり、版元には在庫問題が重くのしかかっていますから、よけいに刷ることはまずないでしょう。

でも、たまにベストセラーが出ると、悪魔に耳元を囁かれる社長もいるかもしれませんが(笑)。

投稿 たけくま | 2005年3月 3日 (木) 18時52分

本記事もコメント欄もめちゃくちゃ濃くておもしろいですね。さすがです。

僕は広告業界の片隅にいる者ですが、生活時間は緩いけど
納期とお金には意外と厳しい業界なので、
出版もそんな調子なのかと思ってました。
雑誌広告とかは規約がいろいろと細かくてウルサイし。
なので今まで出版業界はとても規約が細かい業界なのかと思ってました。
同じ商業ベースの世界でも個人業の色が強い業界と
企業ベースの業界ではこうも違うのかと、とても感心しております。
出版の方々はデッドを超えても納品しても、そんなに利益損失が
無いんですかね?読んでてとても不思議でした。
作家さんのほぼ万人が、お金勘定をメンドクサがる気質なんですかねぇ。
数字を知らずに仕事をするスタンスには驚嘆です。
かなり博打な仕事っぷりなんですね。

投稿 peco | 2005年3月 3日 (木) 19時32分

>pecoさん
私の少ない漫画関係の知り合いの中だけでも、締め切りを「年単位」で遅らせた方と、現在遅らせている方を知っています。(笑)

そう言えばこれも20年くらい前に、某有名編集さんがキャラが全員半そでを着ているエロ漫画雑誌を、真冬に出したことがありましたよ。

投稿 幸 | 2005年3月 3日 (木) 20時04分

出版社側の金銭関係の契約が緩いことが、逆に作家の〆切破りに対する免罪符を与えているような気も…。

投稿 koo | 2005年3月 3日 (木) 20時16分

って竹熊さんが追記で同じこと書いてましたね(^^;。

漫画雑誌だと代原制度が掲載機会の少ない新人作家へのチャンスになってたりもしますな。

投稿 koo | 2005年3月 3日 (木) 20時22分

って事は、作品の大量生産が可能な音楽業界でも、ある話なのでしょうか?密かに再プレスとか・・・

投稿 194ちゃん | 2005年3月 4日 (金) 15時39分

そういえば契約書はあっても取り決めがないために問題になる点で「無代・見本」の部数がありますね。丁寧な契約書の場合は、きちんと「●●部は除く」旨書かれているのですが、出版社によっては「棚ずれ返品」用の倉庫在庫は印税に入れない場合があります。もともと印刷所から搬入される部数自体に予備部数が加わっていますし、正確な刷部数は、実は出版社の人間も知らないかもですね。

音楽業界でも密かに再出荷したというのは、聞いたことがありますね。ただ、この場合は店頭から消えていたものを再度出荷する際に、本人の許諾を取り忘れていた(連絡先がわからなかった^^)というハナシでした。音楽業界の場合はJASRACに登録されている楽曲は、そちらに払いますし、売れた枚数のみが印税になるので、出版とちょっと違いますよね。

投稿 さあにん | 2005年3月 4日 (金) 23時34分

私も5年ほど前まで某社で漫画編集をしておりました。
原稿料については、一種の執筆交渉の一環として(互いに、微妙に言いにくそうにではあるけれど)口頭で話をし、交渉した条件について編集長の確認を仰いでOKが出れば、その旨伝えて”口約束”完了、正式に(雑誌用)執筆突入とかコミックス編集の運びになったタイミングで契約…という段取りだったかと思います。
(ま、ここまでシステム書いちゃうと分かる人には分かる会社ですが…)

印税は実のところ、夏目漱石がイギリス留学から持ち帰ったモノだそうで。この頃から「執筆した書籍の発行部数に対して10%」が慣例として定着しており、漫画も例外ではありません。
メディアミックス案件で止むを得ない場合や、強気な作家で交渉困難(されど執筆して欲しい)場合などは、印税率を変則的に変えることもありましたが、基本的には嫌がられます。
(もうシステムが10%を前提としているので)
だから原作付き案件でも、例えば原作者3%、漫画家7%とかに半自動的になってしまいます。

「こっそり重版」は経理等の管理がしっかりした会社では、はっきり言ってあり得ない事態ですね。
(印刷経費等のつじつまが明白に合わなくなり、税務署に真っ先に見つけられる)
逆にそこが曖昧・うやむやにされている会社では時折耳にしました。
確か平野耕太氏の美少女誌時代の本がいまや入手至難なのも、それが原因だったとか。

投稿 元編集 | 2005年3月 5日 (土) 00時40分

>>さあにん様
>売れた枚数のみが印税になるので、出版とちょっと違いますよね。
そうなんですか!興味本位な質問にレスありがとうございました。

投稿 194ちゃん | 2005年3月 5日 (土) 01時30分

出版も、最近は「売上げ印税」が増えてきましたね。ただ初版部数については「最低保障部数」ということで、再販以降が事実上売上げになることが多いです(アメリカと同様のシステム)。音楽業界はどうなっているんでしょうか。

投稿 たけくま | 2005年3月 5日 (土) 01時49分

ほりえもんとフジのバトルに絡んだ「メディアの言論ウザ→情報に値段をつけるのは閲覧量→情報の価値ってなに?」のヒントになったと思います。

「もらった原稿じゃあ本にならねーよ。編集側で手をいれなくっちゃ」というような場合も多々あるとのことですので原稿を手にしてからでないと価格がつけられない、というのもあるんでしょうね。

投稿 nomad | 2005年3月 5日 (土) 11時05分

出版社ではありませんが、本を発行することもある会社で、経理業務をしたことがあります。

ページ数や本の装丁により、印刷会社に支払う金額が、ある程度決まってしまうので、
その他の費用が掛かることを考慮の上、定価をいくらにするのか、考えるのが大変でした。
(本によって定価をかえていました)。

ただ、最終的には赤字でした。
広報的な位置でとらえられていたので、赤字でも可というのが救いでしたが、
どうすれば、本で儲かるのか不思議に思いました。

その後、社員の一人が、会社の名前で本の執筆依頼があり、ある出版社から出版されましたが、
発刊されても、印税契約書が先方からもらえず、処理に困ったのを覚えています。
いいかげんなのは、業界的なものだったんですね。

投稿 ごま | 2005年3月 5日 (土) 21時00分

昨年の4月から下請法というのが施行されて、放送やソフトウェア、出版編集の分野にも適用されるようになったのはご存知の方もいると思いますが、それを厳密に遵守しているところは、なかなか少ないのではないでしょうか。基本的に大作家であろうが売れないライターであろうが、編集部からの注文・依頼で原稿を書いたりするのは下請法の適用を受けます(持ち込みとか、もともとある原稿はだめヨ)。俺は下請じゃねエ!とかいう誇り高きライターの方もいると思いますが、この法律は発注者が原稿料をキチンと明記したりする書面を発行しなければならないもので、守らないと罰則規定もある法律なんです。
これをみんなやるようにすれば、かなり風通しがよくなると思いますが。

参考までに
日本書籍出版協会HP 出版社における改正下請法の取扱いについてhttp://www.jbpa.or.jp/sitaukehou.pdf
出版ネッツ(フリーランス労組)
http://www.jca.apc.org/NETS/

投稿 rosta | 2005年4月 2日 (土) 18時04分

昨年の4月から下請法というのが施行されて、放送やソフトウェア、出版編集の分野にも適用されるようになったのはご存知の方もいると思いますが、それを厳密に遵守しているところは、なかなか少ないのではないでしょうか。基本的に大作家であろうが売れないライターであろうが、編集部からの注文・依頼で原稿を書いたりするのは下請法の適用を受けます(持ち込みとか、もともとある原稿はだめヨ)。俺は下請じゃねエ!とかいう誇り高きライターの方もいると思いますが、この法律は発注者が原稿料をキチンと明記したりする書面を発行しなければならないもので、守らないと罰則規定もある法律なんです。
これをみんなやるようにすれば、かなり風通しがよくなると思いますが。

参考までに
日本書籍出版協会HP 出版社における改正下請法の取扱いについてhttp://www.jbpa.or.jp/sitaukehou.pdf
出版ネッツ(フリーランス労組)
http://www.jca.apc.org/NETS/

投稿 rosta | 2005年4月 2日 (土) 18時05分

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