8日に通り魔事件の起きた東京・秋葉原はJR秋葉原駅を中心に家電製品の量販店が建ち並ぶ世界有数の電気街として知られるが、近年はゲームやアニメのマニアが集まる「オタクの街」として、独特の若者文化の発信地にもなっている。今回の事件も、現場に居合わせた若者らが携帯電話などを使い、瞬く間に現場の情報や映像が広がった。負傷した被害者を救護する若者の姿も目立った。
事件現場となった「中央通り」(道幅約30メートル)沿いには、アマチュア無線やパソコン周辺機器など以前からの専門店が建ち並ぶ一方、ウエートレスがアニメキャラクターの衣装をまとった「メイドカフェ」なども点在する。05年に茨城県つくば市とを結ぶ「つくばエクスプレス」が開通してからは、秋葉原の人出はさらに増えた。
警視庁などによると、秋葉原で歩行者天国が実施されるようになったのは1973年からで、現在は日曜・祝日に中央通りの約800メートルが対象。多い時には8000人もの人でごった返すという。
事件当日、たまたま遊びに来ていた千葉市の新聞販売店の男性店員(24)は、倒れた男性に駆け寄り介抱した。「どうしてこんな場所で、こんな事件が起きるのか」。男性店員は、そう言って脈を取る右手を震わせた。止血のためにタオルを差し出したり、人工呼吸や心臓マッサージを試みる若者も多数いた。
秋葉原では、最近、路上で「撮影会」と称して下着を見せるパフォーマンスなどが目立つようになり、多数の苦情が寄せられていた。警察がパトロールを強化する中で事件は起きた。【工藤哲】
毎日新聞 2008年6月9日 11時27分(最終更新 6月9日 12時42分)