「医療新時代を」全国医師連盟発足

 病院勤務医の疲弊など医療崩壊が叫ばれる中、医師の労働環境改善などを目指す新組織「全国医師連盟」が6月8日に発足した。初代代表に就任した黒川衛氏(長崎県真珠園療養所勤務)は、設立集会の冒頭、「医師会や教授会と異なる新機軸として、医療新時代を築く」とあいさつした。当面は、労働環境改善に向けて、個人加盟制の医師職労働組合「ドクターズユニオン」結成などの課題に取り組むという。

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 同連盟は同日開いた総会で、医師の労働環境改善以外の当面の課題として、▽医療情報の発信による啓発活動 ▽医療過誤冤罪(えんざい)の防止と事故に遭った患者・家族の救済制度の設立―などに取り組む方針を固めた。また、財務、法務、渉外、広報などを担当する各委員会も設置した。

 執行部によると、同連盟にはこの日までに約740人の医師が加入している。内訳は、勤務医75%、開業医15%、研究医3%など。平均年齢は45歳で、日医などに比べて若い。当面は、1万人規模の会員増加を目指す。役員の任期は1年で、年度ごとに総会を開き、会員による全員投票で代表を選出。代表が執行部のメンバーを指名する。

 総会後に開いた設立集会には、全国から関係者ら150人が駆け付けた。黒川代表は集会冒頭のあいさつで、「医師に心のゆとりがなければ、患者さんの痛みや苦しみに共感できない」と述べ、勤務環境の改善により、医療の質を向上させる考えを強調した。また、「医療費を無駄金と考えるのは改めるべきだ。わたしたち医学・医療の力を生かせば、患者だけでなく社会を元気にすることもできる」と述べた。

 集会後の記者会見では、医師会など既存の組織について、「先輩組織を見習いながらも、変容した医療崩壊といわれる時代に対峙(たいじ)し、解決の旗を掲げているかが疑問」と述べ、是々非々のスタンスで連携する考えを改めて強調した。

 ドクターズユニオン設立を担当する執行部の角田鉄太郎氏(クリニック・サザンウィンド所長)は、「現場で最も忙しい医師たちは、こうした集会には来られないし、全医連の存在自体、知らないかもしれない。地道な活動でこうした人たちをどんどん増やしていきたい。この人たちに、自分たちで声を上げてほしい」などと呼び掛けた。


更新:2008/06/09 12:16     キャリアブレイン

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