テレビドラマ「CHANGE」をご覧になったことがあるだろうか。主演は木村拓哉。急死した父親の地盤を継ぎ、あっという間に国会議員、首相に就く設定だ。
筋書きだけでも現実離れしているが、首相官邸での取材経験からすると「ありえないなあ」と感じることがある。二日の放送では、なんと厳重な警備の公邸から首相が走って逃げ出し、SPに追い回されていた。だが「なるほど」と思うこともある。
「みんなと同じ目線で政治をすると約束したんです」。ある施策について国の誤りを認めようとする首相が、反対する政党幹部に言い切る場面だ。番組が注目されているのは、硬直化した既存政治を変えようとするシーンが、散りばめられているからだろう。
児童養護施設関係者の研修会を取材した際、番組を見た後と同じ思いをした。虐待の増加で、養護の必要な子どもたちで各施設はあふれている。改善するための法改正について、国の担当者から説明があった。
しかし、施設職員の増加といった経費が必要な内容は「財政状況が厳しく、要求を貫くのは難しい」という。主張することのできない子どもたちを取り巻く課題は、財政の視点では優先順位の外に置かれている。
「CHANGE」の中だったら、首相が「子どもたちが幸せに暮らせるよう、一番に予算を付けます」と断言するかもしれない。
(メディア報道部・江草明彦)