地球温暖化防止に省エネ強化で一致=G8・中印韓エネルギー相会合
[青森 8日 ロイター] 青森市で開催された主要8カ国(G8)と中国、インド、韓国の11カ国エネルギー相会合は8日、最近の原油価格の高騰への強い懸念を表明した。
また、地球温暖化問題への対応として、各国が省エネルギー政策を強化していくことを盛り込んだ共同声明「青森宣言」を採択した。
省エネ目標と行動計画を国別に設定することで合意したほか、省エネの推進には業種ごとに削減可能量を分析する「セクター別アプローチ」が有効との認識で一致した。また、新たに国際的な省エネ協力組織を設立することでも合意した。
G8プラス中印韓の11カ国は、世界のエネルギー消費、二酸化炭素(CO2)排出量の約65%を占める。G8エネルギー相会合が、3カ国を招くのは初めて。この11カ国の共同声明は、環境とエネルギーが主要テーマになる7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)で「重要なインプットとなる」(甘利明経済産業相)見通し。
甘利経産相は、共同声明採択後の記者会見で、エネルギー消費とCO2排出の3分の2を占める国が、原油高騰問題と地球温暖化防止で共同声明を採択したのは「かつてない成果だ」と強調した。さらに、この11カ国が認識を共有したことで「残りの国も協力してくれる道筋が付いた」と述べた。
11カ国会合に先立って、国際エネルギー機関(IEA)は6日、「エネルギー技術予測2008」で、世界のCO2排出量を2050年までに半減させるには総額45兆ドル(約4800兆円)の追加資金が必要だと報告した。これを受けて11カ国会合の共同声明には、省エネ推進の国別目標・行動計画のほか、風力、太陽光、原子力発電も含めた代替エネルギーについても、国別の目標や行動計画を持つことを盛り込んだ。さらに、G8各国は、CCS(CO2の回収・貯留)について、2010年までに20の実証プロジェクトを立ち上げることでも一致した。
ただ、省エネと代エネの国別目標は、具体的な時期や目標値などが詰められず、今後の協議を待つことになった。一方で、セクター別アプローチについては実用化に向けて協力していくことで一致した。日本政府関係者は「中国とインドも含めた国際会議で、セクター別アプローチの重要性を文書にすることが出来たことには意味がある」と強調している。
また、国際的な省エネ協力の組織は、「国際省エネルギーパートナーシップ(IPEEC)」として設立を決定。11カ国にとどまらず、全ての主要経済国の参加を呼びかけることとして、今年中に、組織規範をとりまとめていくこととした。
原油価格高騰の問題については、7日の5カ国(日米中印韓)のエネルギー相会合で強い懸念を示したことを受けて、11カ国の間でも現在の原油価格は「異常」との認識を共有した。そのうえで、13・14日のG8財務相会合での議論に期待を示した。
一方で、11カ国の共同声明には、原油高騰の要因になっている投機マネーなど金融市場からの資金流入には言及がなかった。ただ、日本政府関係者によると、11カ国会合で甘利経産相は「原油価格形成の実態解明が重要だ」と指摘したという。
次回のG8エネルギー相会合は、イタリアで開催する。中国、インド、韓国が招待されるかどうかは未定。
(ロイター日本語ニュース 村井 令二記者)
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