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高野山真言宗(庄野光昭宗務総長)の一日内局会が五月二十七日、広島県福山市で中国ブロック(鳥取、島根、美作、備前、備中、広島、山口の七宗務支所)を対象に開かれた。庄野宗務総長が「今、一番不安なのは高野山学園の問題」と学園の厳しい運営状況を説明した。参加者から、過疎化が進む地方寺院の将来を懸念する声や、将来を見越して海外布教の布石を打つように求める意見が出た。
学園問題について庄野宗務総長は「高野山高校は、その存在自体を問わねばならない事態になっている。今の形のまま存続すれば宗団と共倒れになりかねない」と逼迫した状況を説明。その一方で「宗団が教団である限り、子弟育成機関は絶対に必要だ」と強調した。
森寛勝財務部長が、高野山大学は帰属収入(学生納付金)が全歳入の四〇%台、高野山高校は二〇%を下回り、高校の累積赤字が十億円に達しようとする現状を伝えた。
参加者から「他の真言関係の高校と連携できないか」と質問が出たが、内局側はその可能性は薄いとした。
地方寺院の現状について、美作支所の参加者から「美作では葬儀が一件あれば、檀家が一軒減る状態。若い世代は都会に出、孫の代には縁が切れる。政治も田舎を切り捨てる。本山はどのように寺院の将来像を描くのか」と尋ねた。庄野宗務総長は「私も自坊が徳島支所。山村過疎地の現状は分かる。本当の意味で、寺が力を付ける以外に生き残れない時代だ」と語った。
海外布教について、備中支所の参加者が「宗会でも竹井成範議員(備中支所)が質問したが、日本は少子高齢化を迎えており、真言の教えを広めるには海外布教が必須。長い目で見て中国、インドに布石して、開教可能になれば即時に対応できる態勢づくりをすべきだ」と要望した。村上保壽教学部長・開教局長は「今は中国の赤岸鎮に駐在員がいるが、布教はできない。宗団組織では動きにくいが、高野山で加行して帰国した人への奨学金提供などは可能」と語った。
また「チベット騒乱を高野山はどう考えるのか、と問われた」と意見があり、内局側が「全日本仏教会の声明を支持する」とした。