TEXT:桑原 正光 PHOTO:源 賀津己
―「クイズ・ヘキサゴンU」で大ブレイク。番組で結成したグル ープ「羞恥心」のシングルCD『羞恥心』も大ヒット中。今やバラエティ番組を はじめ、ドラマやCMにも引っ張りだこの上地雄輔さん。これまでに体験したアルバイトは20を超えるという。
「僕は高校で野球をやめるまで、ほんとに野球しか知らなかった。それで、野球をやめて、生まれてはじめて“自分の時間”ができたときに、一ヵ月は思いっきり遊んで、あとはもうバイトしようと思ったんです。いろんな仕事をやってみたくて携わりたくて経験もしてみたかったから、怒濤のようにやりましたよ。高校卒業してすぐに芸能界の仕事を始めて、ここまで本気でやるようになるとは思わなかったけど、いろんな経験をしておけばなんかの役に立つかと思ったし、それまで親とか野球の監督さんにいろいろ助けてもらったし、やっぱり、なんていうの…恩返しじゃないけど自分のお金ぐらいは自分で稼ぎたいと思った。そういう思いをぜんぶひっくるめて、バイトをしまくりました」
―小学生のときにピッチャーで全国大会に出場。学校や地域では知らない者がないほどの有名人だった上地さんにとって、初めてのアルバイトは実に新鮮な体験だったようだ。
「だいたい小学校とか中学校時代って悪い意味で目立っていたから、上の学校へ行ってもだいたいみんな自分のことを知ってるんですよ。高校に行っても、野球の成績で入学したことをみんなが知ってて“あいつが来た!”みたいだった。いちばん最初のバイトは力仕事で工事の現場だったんだけど、まったく自分のことを知らない集団の中に入ったのって、生きてきてそのバイトのときが初めてだったんです。それがなんかうれしかった。自分は基本的に人が大好きだし、人見知りしないんです。それで、あんまり出会ったことのない人と知り合ったり友達になれるかもって思って、新しいバイト先に行くのはいつも楽しかった。それにどの現場に行っても、みんな僕をかわいがってくれましたから。授業を一緒に受けてたり、一緒に遊んでいるわけでもない。誰かから僕のウワサを聞きつけてつきあってくれるわけでもない。ただ一緒に仕事をするだけの関係なのに、本当にみんながかわいがってくれた。高校のときはお茶を飲みに連れてってくれたり。二十歳越えてからは飲みに連れてってくれたりね」
―ではなぜ上地さんはどこでもかわいがられるのだろうか? た ずねた瞬間、“だだっ子”のように叫ぶ。
「そういうこと いっつも言われるんだけどーーーっ (困) !! 『なんでそんなにかわいがられるのっ?』って聞かれるの、(取材が集中した)今日もう3回目なんだけど、難しいんです!その質問に答えるの!!」
―その様子はテレビの中の上地さんと寸分変わらない。
「…むりやり答えるなら“人が好き”っていう、僕の生まれながらの性格です。…あ、僕だって合わない人はいますよ。神様じゃないから。だけど基本的に人が好き。だからかどうかはよくわからないけど、すごい年上の親方みたいなひとが、今も息子とか弟みたいに扱ってくれたり。そんな人がいっぱいいるんです」
―どんなバイト先でも、出会ったその日にすぐ「雄輔」と名前で呼ばれていたという上地さんは、そのキャラクターが存分に発揮される接客・営業系のバイトで数々の伝説を残している。
「居酒屋は3,4軒やったし、レストラン、喫茶店、ホテル、バーもやったけど、僕ほんとに、バイトやめるときものすごい引きとめられるんですよ。いっつもその店で一番の売り上げをあげたりするんで。たとえばホテルの仕事では たまにチップをいただけることがあるんですけど、その記録を作りました。ホテルに、お金持ちのかたがお誕生会をするところがあって、そこのホールの仕事をしてたんです。そしたら丸いテーブルに座ってるおばちゃんおじちゃんとかに呼ばれてチップをいただいたり。そういうのって普通ありえないんですけどね。居酒屋だったら俺に会いに来てくれる人とかいるし。『きょう雄輔いる?』って電話があったり、『あ、今日いないんだ』ってお客さんが言うと店長が『あ、雄輔あした来ますよ』って言ったらほんとに次の日来てくれる。――ホストかって!!(爆笑) いや、その店はほんとに居酒屋で、そう言ってくれるのはおっさんとか若いおにいちゃんなんですよ。テレアポで『興味がある』と答えた人のところに行き、パソコンソフトの説明をして買ってもらうバイトでも、最初の1ヵ月で社員を含めた中で1位になりました。行った先では『俺の息子みたい』『私の息子みたい』『こんな息子がほしかった』ってよく言われました。『おまえがんばってるから、じゃあ買うよ』『――ありがとう』って(笑)」
―また、テレアポそのものをしたバイトでは、こんな伝説も。
「テレアポの苦情センターでバイトしていて、苦情電話をしてきた人に気に入られて、その人とメシを食って来たことがあります。苦情に答えなきゃいけないのに『そうそう、わかんないっすよね。俺もあの製品のあそこがよくないと思います。わかる。俺もいやだもん。会社に言っとくね』って(笑)。そんなふうに話しているうち仲良くなって『今度よかったらごはんどう?』『あ?いいすか?』って次の週にメシを(笑)」
上地 雄輔(かみじ・ゆうすけ)
1979年生まれ。
神奈川県横須賀市出身。
タレント、俳優、歌手。
1999年 TVドラマ「LIVE」(TBS)で俳優デビュー。
「ごくせん」(日本テレビ)、「ムコ殿2003」(フ
ジテレビ)など数々の話題作に出演。バラエティ
番組「クイズヘキサゴンU」で人気に火がつき、
つるの剛士、野久保直樹とともに組んだユニッ
ト「羞恥心」のデビュー曲『羞恥心』も大ヒッ
ト。小・中学校時代には野球で全日本に選出。
横浜高時代は捕手として松坂大輔(現レッドソッ
クス)とバッテリーを組んでいたことも話題に。
昨年6月に開設。わずか10ヵ月でアメーバブログの 人気タレントブログランキング1位に上り詰めた、 話題のブログ。4月の誕生日には5万超(!)のコメ ントが寄せられた。
ドラマ『ROOKIES』
(TBS系 土曜19:56〜)
1,200万部の売上げを記録した、森田まさのり原 作のコミック「ROOKIES(ルーキーズ)」を連続ド ラマ化。高校野球を舞台に、熱血教師の活躍と問 題児達の成長を描く。上地さんは第6話より江夏 役で出演。「昔読んでた漫画なんで、めちゃくち ゃやりがい感じてます。江夏はワルモノなんです けど、結局どんな悪いやつでも人間で、そこには 何かしらの理由があったり原因があったりする。 悪いんだけど人間ぽいところもあるっていう、そ こを楽しんでもらえれば」(上地)
『孝太郎が行くU』
(フジテレビ系 水曜深夜1:38〜2:08)
小泉孝太郎と上地雄輔のふたりが「街」に繰り出し、 隠れた名所&話題のスポットをゆるーく散策。地元 の人々とのふれあいと、ふたりのほのぼのとしたや りとりが楽しい。「孝ちゃんはほんとの幼なじみで、 1コ上のおにいちゃん。たまに演出も入ってくるけ ど、それだけだとふたりの関係のよさもでないと思 うし、スタッフにやめてって(笑)。『こんな僕たち ですけど〜』って感じでぷらっとしてて、見ている ひとと3人で買物に行ってる感じになってくれれば いいなと思います」(上地)
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