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愛国心の進化
毎年この季節になると、靖国神社をめぐる不毛な議論が繰り返される。メディアでは、首相の参拝に反対の意見が多いが、世論調査では逆だ。特に若い世代では、70%以上が賛成している。これは「中国や韓国が介入するのは許せない」という感情的な反発によるものだろう。当ブログの『国家の品格』スレも、コメントが200に達してまだ続いているが、藤原氏を批判する人々がその事実誤認や論理の矛盾を指摘するのに対して、擁護する人々は「愛国心は理屈ではない」と反発するのが特徴だ。
教育基本法の改正でも、愛国心が論議になっているが、それは「伝統や郷土を愛する心」というような自然な感情ではない。愛国心が存在するためには、当然その対象である国家が存在しなければならないが、主権国家という概念は17世紀以降の西欧文化圏に固有の制度であり、家族や村落などの自然な共同体とは違う。国家は、ベネディクト・アンダーソンのいう想像の共同体であり、具体的な実体をもたないがゆえに、それを愛する心は人工的につくらなければならないのである。
近代国家が成功したのは、それが戦争機械として強力だったからである。ローマ帝国や都市国家の軍事力は傭兵だったため、金銭しだいで簡単に寝返り、戦力としては当てにならなかった。それに対して、近代国家では国民を徴兵制度によって大量に動員する。これが成功するには兵士は、金銭的な動機ではなく、国のために命を捨てるという利他的な動機で戦わなければならない。逆にいうと、このような愛国心を作り出すことに成功した国家が戦争に勝ち残るのである。
こういう利他的な行動を遺伝子レベルで説明するのが、群淘汰(正確にいうと多レベル淘汰)の理論である。通常の進化論では、淘汰圧は個体レベルのみで働くと考えるが、実際には群レベルでも働く。動物の母親が命を捨てて子供を守る行動は、個体を犠牲にして種を守る「利他的な遺伝子」によるものと考えられる。ただし、こういう遺伝子は、個体レベルでは利己的な遺伝子に勝てないので、それが機能するのは、対外的な競争が激しく、群内の個体の相互依存関係が強い場合である。内輪もめを続けていると、群全体が滅亡してしまうからだ。利他的行動は戦争と共進化するのである。
人間の場合にも、利己的な行動を憎む感情の原因は、利他的な遺伝子だと考えられるが、ミーム(文化的遺伝子)の影響も強い。そもそも明治以前には、日本という国民国家が成立していなかったのだから、愛国心という概念もなかった(したがって江戸時代の武士道を引き合いに出して国家を論じる藤原氏の議論はナンセンス)。しかしアジアが帝国主義諸国の植民地支配下に置かれるなかで、日本は急いで国家意識の育成につとめた。その天皇制のミームが近代化を支えたわけだが、他方ではそれが暴走して破局的な戦争をまねいた。
ミームも多レベルで進化するから、愛国心(利他的なミーム)が機能するのは、国家間で争いが激しく、国内ではあまり激しくない場合に限られる。現在のように対外的に平和になる一方、国内で競争が激しくなると、愛国心が薄れるのは当然である。それを強めるには、愛国心教育を行うよりも、対外的に敵をつくるほうが有効だ。その意味で、中国や韓国を挑発して敵を作り出した小泉首相の演出は、なかなか巧みだったといえよう。
こういうナショナリズムは感情の問題だから、論理的に説得するのは無駄だし、「アジアの国民感情」を理由にして封じ込めようとするのは、かえって反発を強めてしまう。その感情は、靖国神社のようなシンボリックな装置によって演出されるものだから、散文的な「国立追悼施設」は代替策にはならない。むしろ小泉氏が引退して、安倍氏が参拝しなければ、問題は自然消滅するのではないか。いま日本が、中国・韓国と本当の意味で争う理由はないからである。
教育基本法の改正でも、愛国心が論議になっているが、それは「伝統や郷土を愛する心」というような自然な感情ではない。愛国心が存在するためには、当然その対象である国家が存在しなければならないが、主権国家という概念は17世紀以降の西欧文化圏に固有の制度であり、家族や村落などの自然な共同体とは違う。国家は、ベネディクト・アンダーソンのいう想像の共同体であり、具体的な実体をもたないがゆえに、それを愛する心は人工的につくらなければならないのである。
近代国家が成功したのは、それが戦争機械として強力だったからである。ローマ帝国や都市国家の軍事力は傭兵だったため、金銭しだいで簡単に寝返り、戦力としては当てにならなかった。それに対して、近代国家では国民を徴兵制度によって大量に動員する。これが成功するには兵士は、金銭的な動機ではなく、国のために命を捨てるという利他的な動機で戦わなければならない。逆にいうと、このような愛国心を作り出すことに成功した国家が戦争に勝ち残るのである。
こういう利他的な行動を遺伝子レベルで説明するのが、群淘汰(正確にいうと多レベル淘汰)の理論である。通常の進化論では、淘汰圧は個体レベルのみで働くと考えるが、実際には群レベルでも働く。動物の母親が命を捨てて子供を守る行動は、個体を犠牲にして種を守る「利他的な遺伝子」によるものと考えられる。ただし、こういう遺伝子は、個体レベルでは利己的な遺伝子に勝てないので、それが機能するのは、対外的な競争が激しく、群内の個体の相互依存関係が強い場合である。内輪もめを続けていると、群全体が滅亡してしまうからだ。利他的行動は戦争と共進化するのである。
人間の場合にも、利己的な行動を憎む感情の原因は、利他的な遺伝子だと考えられるが、ミーム(文化的遺伝子)の影響も強い。そもそも明治以前には、日本という国民国家が成立していなかったのだから、愛国心という概念もなかった(したがって江戸時代の武士道を引き合いに出して国家を論じる藤原氏の議論はナンセンス)。しかしアジアが帝国主義諸国の植民地支配下に置かれるなかで、日本は急いで国家意識の育成につとめた。その天皇制のミームが近代化を支えたわけだが、他方ではそれが暴走して破局的な戦争をまねいた。
ミームも多レベルで進化するから、愛国心(利他的なミーム)が機能するのは、国家間で争いが激しく、国内ではあまり激しくない場合に限られる。現在のように対外的に平和になる一方、国内で競争が激しくなると、愛国心が薄れるのは当然である。それを強めるには、愛国心教育を行うよりも、対外的に敵をつくるほうが有効だ。その意味で、中国や韓国を挑発して敵を作り出した小泉首相の演出は、なかなか巧みだったといえよう。
こういうナショナリズムは感情の問題だから、論理的に説得するのは無駄だし、「アジアの国民感情」を理由にして封じ込めようとするのは、かえって反発を強めてしまう。その感情は、靖国神社のようなシンボリックな装置によって演出されるものだから、散文的な「国立追悼施設」は代替策にはならない。むしろ小泉氏が引退して、安倍氏が参拝しなければ、問題は自然消滅するのではないか。いま日本が、中国・韓国と本当の意味で争う理由はないからである。
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メディアの軌道修正作業も露骨にそちらの観があります。そもそも米が本気で争う理由を喪失した場合、日本浮いちゃいます(汗
面白い論理である。でも、「小泉氏が引退して、安倍氏が参拝しなければ、問題は自然消滅するのではないか」は能天気である。経済人や経済学者にはこういうお人が少なくないらしい。洗脳されている状態の認識がないからこんなことが言えるのだと思う。
http://www.k5.dion.ne.jp/~hirokuri/
これ、「日本という国家が消滅すれば、外交問題は自然消滅する」という論理と同じ。
現実性ゼロ。
日本のメディアの場合、大元(この場合米中関係)が切り替わればホイホイホイと雪崩現象で変わりますよね。いつものパターンで→「問題は自然消滅したようですが、ナニか?」の脳天気現象は結構リアリティあるんですが(笑 そういうのだけはやたらフットワーク軽いです(w
\"こういうのが「感情的反応」の典型ですね。\"
こういうレッテル貼り行為の方が、\"「感情的反応」の典型\"という気がします。
これは参拝しない理由を安倍ちゃんがうまく説明できるか否かによるでしょう。例えば「私の自然的感情よりも日中国民の共同利益を重視して参拝しない」などと説明すれば俺はヤンヤ喝采します。安倍ちゃんには無理でしょうが。
いや、むしろナショナリズムは感情の問題だから、論理的に説得するのは無駄、といっておきながら、「絶句」氏に対して論理的な誤謬を指摘するという態度が論理的に一貫していないという指摘のほうが、単にオウム返しで『「感情的な反応」の典型』というレッテル貼りこそが『「感情的な反応」の典型』だと言い返すそれこそ感情的な反応よりもよっぽど的確だと思いますが。
それより、「群淘汰」って本当にあるの?
ほとんど非靖国と言えるまで変異しちゃった。
富田メモをめぐる反応を見ても分かる通り、以前は昭和天皇にとってそれが当たり前の靖国ミーム
だったのに、今は戦後民主主義的な国立追悼施設的にまで変異しちゃってる。
>若い世代では、70%以上が賛成している
靖国は決して原靖国ミームじゃない。
原靖国ミームを保持している戦中派の意見との比較不能さ(主に天皇の戦争から天皇が消えてしまっている事)
からもわかる。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%A0
一世を風靡したこのビジョンは、偶然にも米国の方針と一致してたのでここまでは良かったのですが(笑、米国が二枚立てのもう一方をテーブルにあげてバージョンアップさせてたら微妙ですよ。
教条通りワンパターンで猪突猛進しかできなかった小泉路線は、東アジアでの微妙な不均衡バランスのスイートスポットを完全に見失い、自ら崩しにかかってますが(トランス状態)、米としては、表を見て裏も読んでると思っていたらさにあらずだったわけで、そうしたハイセンスな外交の意味が分らないのか、となれば、米国としてはやはり米中直主軸で動くしかないのかと思うのは当然の気がします。次期政権にはこのあたりの大きな課題がのしかかっているのではないでしょうか。
日本はイラクから撤兵をしましたから、安倍さんが参拝する政治的理由はないですね。北朝鮮問題があるとしてもです。
フム。『週刊朝日』に↓んな風に煽られてるシンゾウってなんだろう?としばし考えつつ、
小泉首相とは対照的な靖国「隠密」参拝
安倍晋三はなぜ中国、韓国に「弱腰」なのか
----
http://opendoors.asahi.com/data/detail/7561.shtml
NNKのNとKがシンゾー支持に回ったのは中国利権で手を握ったからとか書かれてる記事もありますが、“利権”云々は別として、シンゾー側と中国側のトップ相互訪問に向けての調整はもう始まってるようですね。靖国参拝は一度限りとのお約束になってるそうで。:/
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/seiron/16263/
>8月20日の米紙ワシントン・ポストに保守派の論客として知られるジョージ・ウイル氏が論説を掲げ、安倍晋三氏は新総理となったら靖国に参拝すべからずと論じている。
>その理由として挙げているのは、単に日中関係が悪いから修復する必要があるということだけであり、米国の世界戦略にとってどうのこうのという論点は全くない。むしろ、全体の書きぶりは、歴史家ウイル氏らしく、中立的、思索的であり、日本に対する非難のトーンはない。
こちらの不思議な論旨の記事を見る限り、やはり米側のスタンスは結構微妙なんだろうなぁと想像しますよね。誰も特に「米国の世界戦略」についてどうのこうのと切り出してもいないと思うんですが(笑
でも今後は、アメリカも何か言ってきますよ。安倍さんにそれが見えていないとは思えないですね。安倍さんは参拝しないでしょう。どこかで一度くらいは、するかもしれないですけどねえ、、、
ちなみに韓国は、盧政権の内政失敗とも関係しているでしょうから、靖国参拝を止めても何か言ってくるでしょう。
まさに中・韓の思う壺ですね。
彼らが「靖国外交カードはまだ使える」と確信するのは間違いないですね。
よって安部新総理には絶対に参拝を続けてもらいたい。
凄いトンデモですねえ、びっくり
書店で立ち読みしたんですが、ドーキンスの利己的とローレンツの利他的をめぐって、日高先生が梅原先生とかなりやり合ってますね。生物学の分野でもなかなか結論を出せないことを他の分野で安易に引用されても困る、というのが日高先生のご意見ではないかと思います。
愛国心と利他的遺伝子は無関係でしょう。戦前の愛国心は浪漫主義的なもので、ドイツの影響が大きいと思います。
少なくとも、彼が多レベル淘汰を理解していないことは間違いない。これについてくわしく知りたい人は、Sober & Wilson "Unto Others" (Harvard U.P.)を読んでください。もちろん、このバカなTBは削除しました。
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