2000年シドニー五輪柔道の金メダリストで、北京五輪100キロ超級代表を逃して引退を表明した井上康生選手(30)=綜合警備保障=が8日、横浜文化体育館で行われた全日本実業団体対抗大会で最後の畳に立った。2試合で一本勝ちするなどチームの優勝に貢献し、有終の美を飾った。
4月29日の全日本選手権以来の実戦。腰痛がひどく、ほとんど練習はできなかったというが「応援してくれたみなさんに少しでも恩返ししたい」と強行出場した。
妻の亜希さんや父の明さんも応援に駆けつけた中、初戦は動きが硬く、引き分け。試合の合間には痛み止めの注射を打った。準決勝で一本勝ちし、決勝も得意の内またで効果を奪い、最後も寝技で一本勝ちした。試合後はチームメートから胴上げされて「みんなと優勝できて本当によかった」と笑みを浮かべた。
今後は指導者を目指して来年1月から英国に留学する。「みんなに愛される柔道家を育て、自分も社会に貢献できる人間になりたい」と目を輝かせた。