あまりに唐突と感じた県民も多かったのではないでしょうか。岡山県財政が破たんの瀬戸際にあるとして、石井正弘知事が財政危機宣言を発表しました。
県によると、何も手を打たなければ、二〇〇九〜一八年度で毎年百三十七億―二百七十億円の収支不足が発生。一一年度にも実質赤字比率が5%を超え、自治体財政健全化法に基づく財政再生団体に転落する恐れがある、としています。
財政再生団体は行財政運営が国から厳しく管理されます。同様の財政再建団体となり、市民会館や市立図書館の閉鎖など余儀なくされた北海道夕張市のように、医療・福祉や教育などで県民サービスの低下は避けられません。
就任から十年以上、石井県政は行革を最優先課題に掲げてきました。今回の危機の理由として県は、約三百億円の交付税が目減りした〇四年の国の三位一体改革を挙げます。が、それは他の自治体も同じ。説得力に欠けます。
税収の大幅な伸びが見込めない以上、窮地を乗り切るには、人件費などの経費や事業費を削るしかありませんが、そうなると地域経済への影響は避けられないでしょう。万が一、財政再生団体となれば、道州制を含む地方分権論議にも冷や水を浴びせかねません。
これまでの行革が不十分だったのか、それとも危機意識が希薄だったのか。九日から六月定例県議会が始まります。論戦を通し、まずは県民の納得のいく説明を行うべきです。
(政治部・桑原功)