五輪招致1次選考を通過して、「複雑な見えにくい競争が始まる」と、石原東京都知事が漏らした。平たく言うと、舞台裏の仁義なき戦いを覚悟しよう、ということか 日本が一番苦手なこと、とも石原さんは付け加えた。かつての名古屋誘致は、土壇場でソウルにさらわれた。大阪はわずかな支持しか得られなかった。長野五輪は巨額の使途不明金が問題になった。巨額のカネや利権が動くとされる招致合戦である 東京は最初の関門をトップの評価で通過した。身近な選挙と同じ、と事情通は言う。序盤で優位という状況は、思わぬ油断と相手の巻き返しを生んで、敗北に終わることがある。近年の招致も逆転劇が続く 五輪に政治を巻き込むな、と事あるごとに言われる。だが、あざといまでの政治利用という北京五輪の例もある。美しい建前が叫ばれるのは、そうでない現実があるから。政治に染め上げられたスポーツの祭典である 策謀、打算、裏切りもある戦国の国取り合戦は、それはそれで面白い。時に泥水をすする戦いも覚悟し、招致合戦に勝ち抜く力があるのなら頼もしい限りだが。
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