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脳波でネット上キャラクター操作/慶応大が新技術
- 子育て・教育
- 2008/06/07
慶応大学理工学部生命情報学科(横浜市港北区)専任講師の牛場潤一さんが、インターネット上の三次元仮想世界(セカンドライフ)内に作成したキャラクター(アバター)を脳波で操作する技術の実証実験に成功した。肢体不自由者を対象にセカンドライフ内での買い物など実用化を目指す。
七日開催された同学部の第十七回市民講座で、牛場さんが報告した。実験は今年五月、筋疾患のため移動に車いすを使用している男性(41)の協力を得て、三回実施した。東京都内の男性宅からセカンドライフにログインし、約一時間半にわたりアバターを操作。同大の学生が操作するアバターと会話した。
肢体の不自由な部位や程度が、操作に影響することもあり、現在新たに脊髄(せきずい)損傷の患者二人の協力を得て、実験を行っている。当面可能な操作範囲について牛場さんは、「セカンドライフ上のショッピングモールで、買い物ができるレベルに向上させる」としている。
同技術では、人の頭部に電極を取り付け、運動機能をつかさどる能細胞が発する、電圧(脳波)を読み取る。機器を通じ脳波の運動意図を分析、データ化し、「キーボードの上向き矢印キーを押す」などの信号としてパソコンに出力。セカンドライフ内のアバターを操作する。
牛場さんは、コンピューターなどの機器を通じ、脳と義手をつなぐなどのブレイン・マシン・インターフェース(BMI)研究を進めている。今回報告した技術開発も、BMI研究の一環。米国では、脳内に電極を埋め込み、脳波による操作を行う技術が主流だが、「感染症の心配がなく、家電のように使いたい時だけ使う方法を探った」という。
福祉機器を扱う国内メーカーなどとビジネス化へ交渉を進めているが、少量生産の場合、機器の価格が上がり、障害者への普及の面で壁となるため、健常者向けの展開も目指す。
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