パキスタンとアフガニスタン両国で長年難民支援に取り組む非政府組織「ペシャワール会」(事務局・福岡市)の中村哲・現地代表(61)は7日、福岡市内で記者会見し、復興支援活動としてアフガニスタン本土への陸上自衛隊の派遣を政府が検討していることに反対し、「もし実際に派遣されれば安全確保のため日本人スタッフはすべて帰国させざるを得ない」と述べ、同会の現地活動が全面停止する可能性があることを明らかにした。
中村氏は、干ばつや世界的な食料危機に加え、米軍や国際治安支援部隊(ISAF)への反発から両国内で暴動や自爆テロが頻発していると指摘。「(自衛隊派遣の前提となる)『非戦闘地域』などどこにもない。米国への従属軍としか受け取られない自衛隊の派遣は、民生支援などで培われてきた日本への信頼を完全に崩壊させ、日本人も殺りくの危険にさらす」と強く批判した。
ペシャワール会は1984年、ハンセン病治療を中心に活動開始。干ばつが深刻化した2000年以降は井戸やかんがい用水路の建設、農業支援なども行っている。現在の日本人スタッフは16人。2007年度の事業規模は約4億5000万円。
=2008/06/08付 西日本新聞朝刊=