プロ2年目を迎えたJリーグ2部(J2)サガン鳥栖のFW谷口堅3(19)が急成長中だ。FW金信泳(24)の累積警告で、先発のチャンスが巡ってきた5月31日の九州ダービー福岡戦(ベストアメニティスタジアム)では、厳しいマンマークを外し巧みなボールコントロールで同点ゴール。今季3得点目を挙げた。
悔しさを力に変えた。「今季は少々遠くても貪欲(どんよく)にゴールを狙う」。昨季は4試合に出場しながら、シュートは1本もなかった。昨年8月19日のセレッソ大阪戦でプロ初先発したものの、精彩を欠き後半11分に交代。ルーキーイヤーはそれっきり出場機会がなかった。オフには筋力トレーニングで体重を4キロ増やし、エース藤田祥史(25)のポストプレーを目で盗みレベルアップに取り組んだ。
今季の3ゴールはすべてフル出場時のもの。途中出場は7試合あったが、得点はない。「気持ちの持っていき方が難しい」と悩んだが、チームの先輩にモチベーションの保ち方を教えてもらうなど研究に余念がない。
まだ10代ながら自分を見つめる目は厳しい。結果を出した福岡戦後も「細かいミスをなくさないと、今後プロとしてやっていくのは厳しい」。胸の内には女手1つで育ててくれた母・優子さん(47)への感謝の気持ちがある。4人兄弟の末っ子。「いろいろ大変だったと思うけど、スパイクとか必要な物は買いなさいって言ってくれた」。鹿児島市内から佐賀県鳥栖市のスタジアムに足を運ぶ母に「いいプレーを見せて親孝行したい」と誓う。
「うまい選手じゃなくて、いい選手と言われたい」。目指す姿には着実に近づいている。岸野靖之監督も「相手が嫌がる泥くささがある。プレーエリアも広がってきたし、大事なところで飛び込んでくる」と評価する。
「将来は日本代表としてワールドカップ(W杯)に行きたい。J1や海外でもプレーしてみたい」。試合でも練習でも、真剣でありたいと願う19歳が、まずはレギュラー定着を目指す。 (丹村智子)
=2008/06/07付 西日本新聞夕刊=