ニュース: 事件 RSS feed
【疑惑の濁流】中国に消えた100億円 聖域化で腐った「遺棄化学兵器」 (3/4ページ)
「遺棄化学兵器は50年間放置された危険な状態にあり、安全かつ迅速に処理するには専門的な知識やノウハウが必要だった。内閣府にはそうした知識がなかったため、知識のあるPCIや国問研などに依頼した」
内閣府の遺棄化学兵器担当室は、これまでの契約の経緯をこう説明した。そして、こうも言うのだ。
「ノウハウのない内閣府としては、処理機構に依存せざるを得ず、処理機構の要求によって予算をつけるほかなかった」
内閣府は処理機構から言われるままに予算額を計上し、その使途についても厳密なチェックをしてこなかったということだ。業者に事業を“丸投げ”し、野放しにした結果、水増し請求という刑事事件に発展する事態になってしまったのだ。
内閣府はPCI事件をきっかけに、今年度から随意契約をやめ、一般競争入札で新たな業者を募ることにしている。しかし、これによって適正化が図られるかは疑問だ。入札方法の切り替えによって事業の不透明さが拭われるわけではないからだ。
現に内閣府は、特捜部の捜査が進んでいる最中にもかかわらず、事態を反省・分析することのないまま、今年度予算に154億6400万円もの額を計上した。本来、大事なのは、発注者である内閣府の側に適切な事業知識を蓄え、業者の暴走を監視することであるはずだ。
まとまった予算が支出されながら、使途の厳密なチェックがない−。これほど“甘い話”はそうざらにはないだろう。遺棄化学兵器処理事業はたちまち“蜜”となり、北朝鮮や中国に人脈を持つ怪しげなブローカーを呼び寄せる結果になった。
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)から不動産と資金をだまし取ったとして詐欺罪に問われている緒方重威(しげたけ)元公安調査庁長官らも、処理事業に作業員を派遣する現地法人に数千万円出資し、事業に関与しようとしていたほどだった。
中国政府への支出は「ODA代わりの“打ち出の小槌”」?
ノーチェックに等しい態勢で、総額約683億円に上る委託料は適切に処理事業に費やされたのだろうか。
内閣府は11〜19年度予算の総額は公表しているが、詳細は明かしていない。なぜ非公表とするのか、意味が不明だ。
「内閣府との契約内容は守秘義務が課せられているため説明できない」
処理機構側も記者の取材に言葉を濁すのみだ。
関係者の証言や業務委託契約書などを基に、11年度から15年度までのPCI−日揮JVへの委託内容を再現すると、ざっとこうなる。