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社説とコラム : 【社説】児童ポルノ/所持も漫画も法改正で禁止を
投稿者: admin 投稿日時: 2007-7-7 6:49:48 (279 ヒット)
社説とコラム

 子供を標的にした性犯罪が後を絶たない。匿名性が高く、簡単に情報のやりとりができるインターネットの普及が児童ポルノを拡散させ、ゆがんだ性癖を持つ人間の欲望を煽っているからだ。
 交通事故で死亡した子供の写真をホームページ(HP)に掲載し、有罪判決を受けた元小学校教諭は、HPにアクセスしてきた相手に子供の裸の写真をメールで送信していた。昨年一年間で、ネット絡みで検挙された児童ポルノは、前年の85%増の二百五十一件。子供への性犯罪は、一・五倍の九百七十八件に達している。

ネットが子供の被害増やす

 わが国には児童買春・ポルノ処罰法があるが、ネットが子供の性犯罪被害を増やす構図を断ち切ることに役立っていない。同法に重大な欠陥があるからだ。その一つは、同法の成立経緯から、児童ポルノの「単純所持」を禁じていないことで、元教諭によって、子供の写真を掲載された父親が判決後、単純所持の規制を訴えたのもこのためだ。

 多くの先進国は、一九九〇年代の半ばまでに、児童ポルノなどを禁じる法律を整備したが、わが国の同法成立は九九年で、遅かった。しかも、性犯罪から子供を守るための法整備がなされていないとして、国際的な圧力に押され、成立させるというお粗末さだった。同法は二〇〇四年に一度改正され、処罰の対象を広げたが、いまだ単純所持の禁止には至っていない。

 注視すべきなのは、児童ポルノの裏に、児童虐待があることだ。幼い子供を裸にして写真を撮るなど極めて悪質な犯罪行為の結果として存在するのが児童ポルノである。このため、ほとんどの先進国は、児童ポルノを単に所持することさえも禁じている。また、所持を認めることは、国内外での製造を助長するため、わが国の法の欠陥については、海外からも危惧の声が出ているのである。

 同法にはもう一つ問題点がある。子供を性欲の対象として描く「児童ポルノ漫画」を禁止していないことだ。実物の写真でなく、たとえ漫画でも小児性愛者の欲望を刺激することに変わりはない。しかも、その拡販は新たな小児性愛者を生む危険性もある。

漫画まで禁止するのは、表現の自由を保障した憲法に反するとの声が一部にある。同法の原案では、漫画も規制対象にしていたが、左翼的な弁護士や学者などによる執拗なロビー活動によって、削除されてしまった。十分な内容でなくても、野放し状態だった児童ポルノの規制は一歩前進だと考え、法の成立が優先されたのだ。

 その結果、何が起きたか。大手書籍販売サイトを調査すると、アダルトコミックの三割が子供を性欲の対象として描いた内容で占められているのだ。しかし、表現の自由よりも、性的な秩序や性道徳の維持が優先され、一般向け販売の漫画本でもわいせつ図画販売罪が成立する、との最高裁判例がある。ましてや、子供を性欲の対象とした漫画は、一般のわいせつ漫画よりも悪質である。そんな漫画を児童ポルノとして厳しく規制するのは当然ではないか。

国際水準に高めた法必要

 同法には、施行後三年を目途とした改正規定がある。〇四年の改正から三年がたつ今年は、見直しの時期である。そこで国会には、単純所持と漫画の禁止条項を盛り込んだ改正案を成立させ、同法を国際水準に高めることを求めたい。国会が現行法の欠陥を放置しておけば、子供を対象にした性犯罪に甘い日本という国際的な非難が再び高まることになろう。

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