TAKAGISM BLOG

「マイパーソナル　ＡＴＭ２　ピンク」と書いてある。
　謎だ。
　２Ｆに上がり、
「あれは何だ」と聞くと、
「ニコが欲しいもの」だと言う。「どうしても欲しいの」
　調べるとなるほど、子供向けの玩具というのか、キャッシュディスペンサー型の貯金箱らしい。
　ニコはうちの中でもかなりの資産家である。
　詳細は知らないが、何十万円かの預金があるらしい。
　同じかそれ以上のインカムがありながら貯蓄ゼロの紅円とは大違いだ。
「これ、紅円には要らないものだな」
「ぐっちゃん、お金ないもんね」と、二人で笑ったことだった。
　で、インターネットで注文してやった。
　今朝、立て続けに宅配便が来た。
　義母が俺のマットレス向けに作ってくれたシーツ。
　そして、ニコのＡＴＭだ。
　早いな。
　どうやら、必要な単３電池を自分で買いにいったもよう。
　戻って来るなり、ビビビとかビローンとかなりうるさい電子音がしている。
　どたどたと足音がしたかと思うと、時計の設定をしてくれとのこと。
「パパの通帳もつくってあげるから」
「あーそうか」
《セキュリティカード》を差し込んでから「時計」ボタンを長押し……なかなか面倒である。
　しばらくピロピロと電子音がしていたが、今は止んだ。
　貯金は美徳である。
　大人になってから、そう思う。
　金額の多寡はともかく、何かを辛抱して貯めるということがえらい。
　そのうえニコは、金遣いもいい。
　鍵付きの机も自分で買ったし、姉の誕生日には服やアクセサリーをぱーっとプレゼントしていた。
　ふだん貯めていないと、そういうことができないから。