◎日仏交流150年 「熱狂の日」成功も追い風に
日仏交流百五十周年を記念し、金沢など日本の地方の観光地をフランスでPRするキャ
ンペーンが始まった。折しも金沢では、ナント市発祥の「ラ・フォル・ジュルネ金沢『熱狂の日』音楽祭」が大型連休中に開催されて大成功をおさめ、兼六園が権威あるミシュラン社の格付けで最高ランクの三つ星観光地に選定されるなど、金沢とフランスを結ぶ追い風が吹いている。こうした縁も切り口に、「本物」を楽しめる伝統都市金沢を発信し、グレードの高いフランスの客を招きたい。
キャンペーンは、日本の国際観光振興機構(JNTO)が、フランス政府観光局と連携
して進めており、七月にパリで開かれるイベント「ジャパンエキスポ」を軸に多彩な催しが展開される。今回は、フランスからの観光客数を底上げするため、東京や大阪などの大都市部ではなく、歴史や文化が息づいた地方の観光地を重点的にアピールするのが特徴だ。
中でも、武家文化の伝統が残る金沢市は、世界遺産の「厳島神社」や「紀伊山地の霊場
と参詣道」、地中美術館で知られる「香川県直島町」と同列の最重点地区に選ばれたことで、イベントでの注目度は一層高くなるだろう。
既に最重点地区の位置や交通手段などを紹介するフランス語のホームページも開設され
ているというから、金沢を売り出すチャンスが広がる。
七月のイベントの詳細はまだ固まっていないようだが、金沢を紹介するにあたっては、
市も大きな役割を担う。イベントの中では、極上の加賀料理や歴史探訪の魅力とともに、先の「熱狂の日」音楽祭での金沢市内の盛り上がりなども紹介し、音楽愛好者のすそ野の広がりや、芸術が市民生活に根付いていることも大いに伝えてもらいたい。審美眼の高いフランス富裕層も親近感が増すに違いない。
また、この十月には姉妹都市ナンシー市で、日仏合同による能舞台が披露される。観光
を主眼に置かないこのような独自の交流企画の中でも、できるだけ金沢の魅力を印象づけるような戦略も練り、フランスの金沢びいきを少しでも増やしてもらいたい。
◎バイオ燃料見直し 理解求め今後も主張を
国連食糧農業機関(FAO)の食料サミットの焦点だったバイオ燃料見直しは、予想さ
れた通り一部の生産国や輸出国に猛反対され、最終日に議長から発表された共同宣言で表現が弱められた。が、見直しを求める日本などは間違っていないのだから、今後も理解を求めて粘り強く主張を続けることが肝心だ。
日本や欧州連合(EU)はバイオ燃料の温暖化防止効果に疑問を抱き、少なくともトウ
モロコシなどの穀物を原料とすることの見直しを主張したのだが、米国やブラジルの反対に遭ったのである。
その妥協案としてバイオ燃料に関する表現が和らげられ、食料確保にも配慮しながら、
本当に地球温暖化対策に役立つのかどうか今後も調査研究や、是非をめぐる各国の対話を続けるという表現に後退したといわれる。
バイオ燃料には穀物からつくるものと、そうでないものとがある。
どちらにせよ、地球温暖化の防止への効果となると、生育の過程で温暖化ガスを吸収す
る半面、生育・製造・供給の過程で温暖化ガスを出す肥料、ガソリン、軽油などが投入されるため、結果として温暖化ガスが差し引きゼロにはならず、むしろゼロ以上になる可能性があるほか、穀物を原料とする場合は食料生産を圧迫し、食料不足を招きかねないのである。
見直しを主張するのは正論だが、利害が複雑にぶつかり合う国際社会では、正論が一回
の話し合いで通ることなどほとんどあり得ない。永遠に理解されないということもあり得ない。そう考えて今後も主張をしていきたい。
温暖化対策は、科学技術に求めるのが筋である。それは人類の運命ともいえるのではな
いか。
日本の企業はここへきて太陽エネルギーを効率的に利用するために不可欠なリチウムイ
オン電池の生産拡大に踏み出した。これは従来の力学を超えた量子力学に基づく電池である。やはり量子力学に立脚した原子力発電の安全性が高められ、自動車メーカーも一斉に電気自動車の生産、普及に乗り出した。こうしたことにこそ期待を掛けたい。