武雄市の樋渡啓祐市長は6日、武雄杵島地区医師会を訪れ、古賀義行会長に対し、市民病院の民間移譲をめぐって医師会と対立を招いたことを陳謝し、移譲先を決める選考委員会への協力を要請した。古賀会長は「(民間移譲ありきの現状では)否定の方向で考えている」として医師会から選考委員への派遣は困難との見通しを示した。
樋渡市長は「直営か民営かは手段であり、病院機能を長期に維持することが重要。市民医療を真に守る観点から、経営形態を変える苦渋の決断をした」と説明。選考委による決定を尊重し「決定には100パーセント拘束を受ける。審議が長引けば6月末の決定にはこだわらない」とした。
これに対し、古賀会長は地域医療の在り方の協議には応じる姿勢をみせたが、選考委への委員派遣は「市の決定を追認した形になる」と終始否定的だった。移譲後について同会の会員が「移譲先が経営的問題から(救急医療などの)不採算部門を中止したらどうするのか」と指摘。樋渡市長は「公的な役割なら市が支援する」と答えた。
また、同日夜には樋渡市長が市民病院職員に直接説明。看護師などから早急な民間移譲決定を批判し、今後の雇用不安を訴える声が相次いだ。樋渡市長は「経営形態は異なっても市民病院を守る到達点は同じ。雇用確保のため専門の部署も設けたい」などと答えた。
=2008/06/07付 西日本新聞朝刊=