「博士の愛した数式」などで知られる岡山市出身の芥川賞作家小川洋子さんは、子どものころから、新聞で一番好きなのは科学の記事だったそうだ。
「新しい星が発見されたり、チンパンジーが字を覚えたり、難病を引き起こす遺伝子が解読されたり、といった記事に出会うとつい興奮して…」と、近著「科学の扉をノックする」で打ち明けている。
一見、難解なイメージで敬遠されがちな科学。だが、この世にあふれる未知なる世界への驚きや、その謎に迫りたいと思う好奇心こそが、科学へのアプローチの引き金となるのではないか。
岡山大が今秋、「未来の科学者養成講座」を開設するという記事が本紙に出ていた。対象は、理科や数学が得意な小中高生だ。生物、化学、物理の教授らが理解度に応じて指導するほか、大学の講義や研究室の実験にも参加するという。
昨年十二月、十五歳を対象にした国際的な学習到達度調査で気になる結果が出ていたのを思い出した。参加した五十七カ国・地域の中で日本は、科学に楽しさや親しみを感じている生徒の割合が最低レベルだった。
科学技術立国を目指す日本にとって、若者の「理数離れ」は深刻だ。岡山大の受講生の中から、世界の科学技術をリードする将来の研究者が育ってくれれば頼もしい。