2008年6月 6日 (金)

募集開始いたしました。

夏企画「暑中お見舞い」の募集を開始いたしました。

内容的な問題で何かと制限のある企画ですが、
もし宜しければ、お気軽にお申込くださいね♪
(但し、18歳以上且つ高校生禁止)

ええ。
内容は多分犯罪的になるんじゃないか……と(薄笑)
目指せ「SCREAM」越え!!
お楽しみにっ★

―――えーと、ミラージュは関係ないのですが。

夏コミ……種見事に落選です(笑)
やっぱりね……。だろうと思いましたよ。
このジャンルで、まして初参加サークルが当選するはずがないんですよ。

流石に、落選しても種は後悔はないんですが。

たーのーむーよー。
ミラージュだけは!!!!
このジャンルだけは当選させてくださいっっっ(泣)
本気で今回は心血注いでおりますので。
落選したら、ショックでまた寝込むかも知れません……。
お願い……。

月曜日か火曜日の当落発表の到着まで胃が痛くなりそうです(涙)

はー。

2008年6月 3日 (火)

事務報告、5月分その後。

6月1日までにご入金済みで、
本日明細が届いた方については、
本日到着お知らせのメールを送信いたしました。
ご確認くださいね。

発送は現時点での予定は、9日月曜日です。
(何の問題もなければ……)

もう少しだけお待ち頂ければ幸いです。

本日3日までにお申込を頂きましたメールに関しても
本日、送信いたしました。
内容ご確認後、ご入金の方をよろしくお願いいたします。


通販、一番人気はやっぱりS+K。
そうか……。
そうだったのか。
印刷しとけばよかった(涙)
多分、イベント販売だと、1度に5冊ほどしか販売していないのが
原因だと思いのですが。
理想は10冊なんですが、新刊と同時進行であの厚みを10冊というのは……。
それが原因で前回SCCでは柊、死に掛けましたからね。
やっぱりちょっと無理かも。
あ、でも夏コミ当選したら、7月末までに発行した本を
すべて持ち込む予定ですので、お楽しみに♪
……というか、その時なら試し読みしながらでも購入はできますよ……と?
落選したら……分かりません。
ちまちま完売するまで、イベントと通販をしているかも(泣)

暑中見舞い企画。
7月20~8月8日頃までに発送というのが、発覚。
今日郵便局で確認してきました(笑)
その期間が妥当なのだとか。
その後になると「残暑見舞い」。
まあ、それでもいいのですが。
というか、寧ろ内容的には無関係だし。
取り敢えず、エロでも読んで夏の熱さに負けないでっ
という……とんでもない企画ですから。

恥ずかしがって、誰も申込者がいなかったりして(爆…)
だ、誰かっっっ、貰ってやってくださいっっ(大泣)
誰もいなかったら……激エロだけお蔵入り。
友人にだけ楽しんでもらうことに。

2008年6月 2日 (月)

企画です(笑)

唐突ですが。
今年、お馬鹿な企画を予定しております。
何がお馬鹿かというと……。


■暑中お見舞い申し上げます 限定WEB■
※R-18↑を予定(爆) 

……タイトル通り、暑中見舞いです(笑)
応募方法は下記の通り。


●暑中お見舞いWEB URL請求方法●
お申込はメールにてお願いいたします。
HP「お知らせ」にてお申込用特設設置。(6月6日から受付開始~6月末日まで)
URLは後日お届けする「暑中見舞いハガキ」に記載。
なお、ハガキ代は無料(爆)

1.ご住所(〒) ※局留め禁止
2.ご氏名 ※HN禁
3.イラスト有りハガキ発送(可・不可)
※イラストは書き下ろしです。(……下手の横好き)

ご興味のある方、ご希望の方沢山のご利用をお待ちしております♪

※WEB URL請求にて頂きました個人情報は
今回の限定公開のためにのみ使用するものであり、
終了後は削除破棄いたしますので、ご安心ください。
(R-18の公開のため)



●ご注意ください●
・18歳以下の方のご請求には応じられません。
・一部暴力的なシーンもある予定。苦手な方はご遠慮ください。
・もしかしたら……直江以外の人間もかも……。
・高耶さんと直江の幸せな物語だけを夢見られる方、残念です。
(…うちのサークルに来ている方なら多分大丈夫だと思うけど……)
・後日、少し内容変更してオフラインにて発表いたします。
(なお、コピー本の際には結構表現を押さえる予定です。/イベント会場では不特定多数の方に販売なので……)

ちなみに、内容がかなり過激な表現になるため、
通常のサイトにはUPいたしません。

メールを頂いた方にのみ、後日(7月頃)「暑中見舞いハガキ」を発送。
そのハガキの中にURLとパスワードを記載いたします。
そのアドレスをたどって内容をご覧ください(笑)
一応、特設のURLは約2ヶ月間公開予定。



……いや、あの……事情があってハガキが山ほどあるので。
何かに利用できないかなぁ~と考えたところ、
今考えているエロとコラボで……(殴)

ごめんなさい(涙)

でも、たまには……ね。
ハメも外したいじゃないですかっ!!!!
せめて痴●本の前に、こーんなことしちゃうぞーって。
嫌がる高●さんを、あーんな、こーんな。
あまつさえ、×××なんて……。


……自分……変態だろう……(反省)

でも、何故か今「やおいの神様」が降臨中……。
かーきーたーいーのーっ!とウズウズしております。

お申込、よろしく御願いいたします。

復ー活っ!!!

日曜日、某種オンリー(実は00と大振りと合同)で平和な島に行っている最中、
ずっとズキズキと痛んでいた頭。
久し振りに友人と長々とおしゃべりを楽しんで、
久し振りに好きな曲を自宅以外で聞いて、
久し振りにガチャガチャ(カプセルを出すあのクジです)やって、
久し振りにカゴ一杯に買い物をしたら、
少し収まってました。

そんなこんなで、帰宅後。
嫌がる兄貴を拝み倒して軽くマッサージをしてもらったら、アラ不思議。
全快です(爆)
(実は今日も一応、念のためと近所のスーパー銭湯に仕事帰りに寄り道♪)

単純に肩こりだったようです。
よ、よかったぁぁああ(泣)
これで、ムチ打ちなんて言ったアカツキには、もうもう。
原稿投げ出そうかと思いましたよ。

―――ということで。
来週から原稿開始です。
例年だと、一応夏コミの当落を見定めてから行動するのですが、
いかんせ今年は発行予定が多すぎるっ!
まあ……どうせ、その後のイベントには参加するわけですから。
諦めて、フライング気味に始めようかと。
(あ、でも来週だとと当落がわかった後なんだな……)
うーん。
一応、目標は予定通りオフ2冊+コピー本1冊。
予定通りでたら、もしかしたら突発の可能性もありますが……。
あ、でも無配に書き下ろす短編(絆創膏のあれです/笑)があるから、
ちょっと無理か。

ともあれ、夏落ちたら……大阪はともかく……東京。
Goodってどのくらい人が来るんだ?
折角の企画、人が来ないと寂しいから…9月のスパークで配布するか?
あ。でも必ず何れかのイベントで用意しますので、お楽しみっ♪

あ。
夏コミ、小説ジャンル2日目でした。
あーっと、アニメが2日目になって、ジャンプが1日目になったんですね。
……やばい★
売り子してくれる友人、1日目じゃん!!!!
…売り子……柊一人?(死)
仕方ない。説得するか。

2008年5月31日 (土)

何とか、直りました。

19日から引いていた風邪、何とか治った模様。
とはいえ、少し疲れると直ぐに熱っぽくなるのですが(涙)
現在も続いている頭痛が果たして自転車でコケたのが理由か、
単にいつもの如く肩こりが原因かは不明。
……結局、医者行かなかったな……。
肩と坐骨神経の問題で接骨院に行こうかなと考えているので、
その時に先生に相談しようかと思ってます。

頭痛に関しては、長い修羅場の後にある症状と同じなので、
自分でもはっきりと分からないんですよね……。
異常なのか、正常なのか。
ただ、眼精疲労が酷いので集中力も落ちているのでどちらかというと
すべての理由は「疲れ」のようです。
1ヶ月ぐらい、のんびりするか……。

少しお話は変わりますが、実は、もう直ぐ夏コミの当落発表。
もう、毎日ドキドキで過ごしております。
基本的に夏は当選する確率が高いのですが、
昨年は見事に落選。
まあ、それが幸いか、災いか……柊個人的には暴走することができたので、
楽しかったのですが……。
今年はやはり、当選したいっ!!!!
アレ出して、コレ出して。
GWに出来なかった企画、新刊セットしっかり事前に用意して。
オマケも付けて……と一人で盛り上がっております。
だから、ね。
受かるといいな。
……ただ問題が。
1日目なんですよね、ミラージュ。
で、同じ1日目にサンライズがいる!!(爆)
……うーん。
まあ……去年と違って、今年はもう騎士本がないので、
そこまで必死にならなくても大丈夫なんですが。
やっぱり気になる。

結果は、果たして?
ご報告は来週の日曜日!!!!!!!!!!!!
祈っててくださいね。


事務報告。

乱丁本のお取替えについてのメールの送信が、
つき先ほど、すべて終了いたしました。
お心当たりのある皆様、ご確認くださいね。

それにしても……多かった。
○○冊……こんなに作ったのかと自分でも拍手。
ついでに、ある意味に拍手。
こんなに派手な乱丁も初めて。
でも7月で再版も終わりだからいいかと開き直りました(涙)

正常本の発送は当方到着後、現在のところ1週間以内です。


5月通販分お申込の皆様へ
昨日30日までのお問い合わせ分は、本日送信いたしました。
メールご確認の上、よろしく御願いいたします。

5月通販分お申込で、既に送金を完了されました皆様へ
●送金明細(ゆうちょ銀行発行の明細書)が当方に到着している分
ご報告メール随時送信しております。
メール送信済みのお申込については現在、本を準備中。
そのため、発送は来週の末頃~再来週の半ば頃になるかと思います。
少しだけお待ち頂ければ幸いです。

●ご報告メール未着の方へ
送金後当方に明細が到着するまでに早くても3日ほどのタイムラグがあります。
「送金したけど、メールがこなーいっ!」という方、少しお待ちください。


本日の事務のご報告はこれまで。
お心当たりのある方、どうぞよろしく御願いいたします。




2008年5月27日 (火)

サイト。

サイトの方のinformationの変更をいたしました。

主にイベント参加の予定です。
今年は8月以降はかなり忙しい動きになりそう。
今回のように体調を崩さなければいいのですが……。
関西には、夏コミ後のSCCにいつも通り参加予定です♪
夏コミ参加ならば、その新刊を。
夏コミ落選ならば、大阪あわせの新刊となります。
目指せ、オフ本2冊! 痴●本1冊!!(爆)

来年2月にはミラージュのオンリーも開催される様子。
今回は「結婚式」……。(笑)
シールラリーもあるようですので、早くもラリー参加で何か目論んでおります。
(今年のスタンプラリーがかなり楽しかったらしい/笑)

来年のラリーでは専用に何か配布物も用意しようかと……。
今から考えて置けば、予定通り出せるだろうっ。
そんなことでお楽しみに♪
あ、でもシールどうしよう……また適当に作るか(殴)
前回は消しゴムで「カメ」の絵。(柊かなめ⇔Hカメ)
今回は……イラスト書いて、PCで縮小して……?

でも柊の絵いる人っているのか?
……あ、絵自体はどうでもいいのか。ラリーだから(笑)
表紙の絵は夏に使っちゃうから……。
(夏コミ参加できないと、すべてが木阿弥ですが……/涙)
うーん。


……というか、早く申込しないとね……。
また直前じゃあ…ね…。
それが原因で抽選漏れだってあり得るわけだから。

では、何か決まりましたら、またこちらでお知らせしまーす。
取り敢えずそろそろ寝たいと思います。
頭痛くなってきた(涙)←結局未だに医者行ってません(苦笑)

2008年5月25日 (日)

事務報告。乱丁について。

先日からの体調不良と、昨日の転倒事故のため、
事務処理が更にペースダウン中。
(挙句に原稿は手付かず中……)

乱丁本についてのメールの送信、本日分完了いたしました。
ちなみに先着順で約10名ほどぐらいずつお知らせしております。
まだ未着の方、もう少々お待ちくださいね。
せめて、今週中にはすべての方に送信完了の予定です。
なお、乱丁本は当方到着次第、発送いたします。
発送次第、こちらのブログでお知らせいたしますので、
該当されている方は、ご確認をお願いいたします。


風邪が治りかけていたのに(涙)
昨日の転倒事故。結構強く体を打ち付けていたようで、
今日になって打撲やら、筋肉痛(体を守るため、反射的に体を固くしたらしい)やら
軽い頭痛で意識が朦朧。
……ショックが残っているのかは分かりませんが、少し熱も(涙)
がぁぁあああああ(泣)
なーんで、この時期にぃぃいいい。
せめてもの慰めは、手を怪我しなかったこと。
偉い、自分!!!
でも、どうせなら、首も守ろうな……ちゃんと。
軽いムチ打ちなのか、それとも単に肩こりが酷いのか。
後頭部がなんとなく重いです(涙)
しかたない……医者行くか?
暇ないのに?うっ。

心配してくださった皆様、メールで励まして下さりました皆様。
本当にありがとうございます(涙)
お言葉に甘えでゆっくりですが、キチンと通販等を頑張りますので、
どうぞよろしく御願いいたします。
(何か、お詫びの品でも付けるかっ。お楽しみに~)
……本当か?(爆)

episode15~夜明けの刻

 季節が移るまで二ヶ月もなかった。
 その間あまり大した問題も起こらず、長秀からの情報と、時々入る晴家からの報告によって幾つかの小競り合いを収め、どこかであの子が無事に成長できることを祈りながら、後処理という名目で怨将たちを葬った。
 救いようのない恨みばかりを重ねた者達ばかりだったけれど、四百年全く問題なくこなしてきた調伏が酷く苦々しいものに感じるようになっていた。
 信長が去り、闇戦国が終焉を向かえつつあるからだろうか。
 これまでは当然と思っていた、気にも掛けなかった行為が、何故こうも苦しいのか。
 あの頃は終わりの見えない戦いに「仕方がない」と、現生を生きる人々のためにとの大義名分の下に殺戮と言える行為を繰り返した。
 相手がすでに過去の死人…怨将だと、自分たちの敵なのだという意識も強かったのかもしれない。
 あの時はそれが自分たちに与えられた使命なのだと。
 恨みを、強い思いを残し、怨将になるしかなかった自分にはそれしかなかったから。
 謙信公に認められ、仏にも求められたからと、自分ですべてを許していたのだ。

 けれど。

 今になって思うことがある。

 調伏した怨将たちにだって、恨まざるを得なかった事情があり、それを取り戻そうとしただけなのかもしれない。
 少し、その方法が性急だっただけなのかもしれない。
 けれど、彼らもそのために罪もない、現生人を殺したかもしれないのだ。
 結局どこも考えれば考えるだけ堂々巡りで、誰が正しいかなんて誰にも決められない。
 そう、上杉ですら……。

 その差を決めたのは言うなれば信念だった。
 きっとそれが正義なのだと、今は思う。

「……」
 真夜中に一人、机の上に置いた愛用の銃を眺めながらそんなことを考えていた。
 ずっと持っていた銃。
 それはあの夜震える高耶の手から外させたもの。
 あの後、自分は高耶の元を一度離れたけれど、ずっとこれだけはずっと離さずにいた。
 直江にとって何故かこれが高耶の遺品のような気がしてならなかったからだ。

「あなたに聞いてみたかったことがあるんです……」

 謙信公を慕い、謙信公の言葉だけを信じて四百年生きて来たのに、けれど彼の中にはそれだけではない何かが芽生え、存在していた。
 確かに現代に悪影響を与える怨将たちを固唾けるのだから、正義なのだろう。それにも増して信念はどこの誰にも負けない自信があった。
 
 正義の軍上杉なのだからと。

 けれど、今生において高耶は一体何を思ったのだろう。

 決して、それを口にはできなかったけれど。

 指先で銃を突いてみたが、それは重くてコトリともしない。
 その冷たい銃身を握り締め、持ち上げようと腕に力を入れたところで、不意に背後で電話の音が鳴り響いた。

『直江』

 顔を上げ、サイドボードの上の電話の子機を取れば、そこからは聞きなれた女の声がした。

「晴家……」

 驚いて子機を持ったままもう一度机の椅子に深く座りなおせば、受話器の向こう側で晴家がはにかんだ笑みを浮かべたのが気配で伝わった。

『やっぱり、起きてたのね』
「沈んでなんかいないぞ」
『分かってるわよ。そうじゃなくてね、何となく直江の声が聞きたくなったの。長秀のところに行ってからもう結構経つけど、最近会わないし。元気? ちゃんとご飯食べてる?』
「ああ…」

 曖昧に返せば、晴家はまた笑った。

『直江、景虎のこと考えてたでしょ?』

「……」
『やっぱり』

 図星を当てられ答えずにいれば、晴家は勝手に納得した。
 霊査能力が高いからなのか、それとももう長いこと女をしているからだろうか。
 晴家は時々こんなふうに勘が鋭いところがあって、時々怖くなる。
 でもそれが助けに繋がる方が多いので、直江は素直に頷いた。

「ずっと考えていた。だが、言っておくが、また泣き言を言うためじゃないぞ。ただ彼を考えていたんだ」

 言えば、晴家は吹き出すように笑った。

『分かってるってば。そうね。だから、言いたかったのよ、私。……最近、景虎の夢を見ないなって。別に悪い方の意味じゃなくて、なんだかね、悲しくないのよ。それにあれほど痛かったのに、切なくもない。凄く変なことなんだけどね、どこかに景虎を感じるのよ。ずっと前に高耶を見付けた時みたいに…。そんなことないって分かってるんだけど。それとも妄想なのかな。ショックが大き過ぎてとうとう気がおかしくなっちゃったとか。でも、変なのよ。胸が、心の中が…』

「晴家…」

 言われて思い出したのは、あの黒い瞳の子供だった。

 そう言われてみれば、あの子を見た時から夢の兆しもなければ、無高耶を失った悲しみもどうしようもない切なさもどこかへ行ってしまったように思える。

 思って、これも薄情なのだろうかと考えた。

 けれど、何故か自分を非難する気持ちはまったく湧き起こらなかった。

「俺もだ、晴家。今お前に言われるまで気づかなかったがな。多分お前と同じ気持ちなんだろう。あの人が…と。彼が死ぬはずが、あれで終わるはずがないと…」

 言ってしまってから、しまったと思った。

『……』

 案の定、晴家は言葉を無くしている。


 体はもとより、魂もない彼が生きているはずなどない。
 それは晴家が一番よく知っていて、直江自身その現実を身のうちで感じ絶望していたのに。
 これでは、まったく現実を受け入れていないようではないか。
 浅はかな言葉だと、直江は思った。

「すまない…」

 だから目を伏せてポツリと言えば、受話器の向こう側で晴家が小さく笑った。


『ねぇ、直江? 輪廻って信じてる?』

「何言って……」


 命を終えて来世に魂を繋ぐ。それは迷信ではなく、現実だ。
 そんなことは夜叉衆の自分たちの中では当たり前の話だったし、それを知っていたからこそ晴家はたった一人の人間を待ち長い年月を女として生きて来たのではないか?

 晴家の突拍子のない言葉に、直江は眉間に親指を当てる。

 受話器の向こう側では至極当然のように、けれど晴家が言葉を続けていた。

『私ね、本当は輪廻なんてないんじゃないかって思ってたの。輪廻があるなら、また会えるはずの人に、ずっと会えずにいるから。けれど、景虎は……きっとどこかでまた命を貰ったんじゃないかって。すり減らして小さくなってしまった魂にまた暖かいものを吹き込んでもらって……。だって、あんなに一生懸命生きていた人だもの。生きるって願った人だもの。神様だって、見逃すはずがないじゃない? あんな声聞いちゃったら…。だからあの時は叶えて上げられなかったけれど、少し遅くなっちゃったけれど、どこかで景虎を生かしてくれたんじゃないかって…そう思えるようになって来たの』

「……」

 これまで自分たちが知り得た知識、定説をすべて度返ししてしまったかのような晴家の言葉に直江は僅かに頭痛を感じ始めていた。

 けれど……。

 ふと浮かんだのは、漆黒の瞳が印象的な子供。

 まるで御伽噺のようなことだったけれど、晴家の言葉を否定する気にはなれなかった。


『笑っちゃうわよね…』

 黙りこんだ直江にそう言って誤魔化そうと晴家が笑えば、思わず直江は首を振っていた。

「いいや。少し驚いたがな。もしかしたらそんな奇跡、彼なら起こしてしまうかもしれない」

 彼と同じ漆黒の瞳。

 長秀に口止めされていたから、まだ晴家には言えなかったけれど、もしかしたらあの子は高耶なのかもしれないと、彼と同じ漆黒の瞳を持つというだけで、そんな自分のことをおかしいと思いながらも直江は願わずにはいられなかった。


「晴家、もしあの人が…景虎様の生まれ変わりが近くにいたとしたら、お前はどうする?」


『……』

 唐突に聞けば、受話器の向こうで晴家が少し考えているような気配が伝わり、それから酷く嬉しげな声が呟く。



『可愛がってあげるわ。それから色々なことを話して、いっぱい遊んで、その子が大きくなって行くのをおばあちゃんになるまでずっと見てるの。その子の幸せを、いっぱい見るのよ』


 景虎ができなかったことを沢山させてあげるんだと、晴家の声は明るく楽しそうだった。

 景虎自身の過去は、結局誰もよく知らなかった。

 北条家の末の弟として生まれ、沢山の兄弟に囲まれ健やかに育ったのだろうとずっと考えてはいたけれど、闇戦国に北条家が復活した際の様子をみると、どうも少し違う感じがした。

 もしかしたら、彼はずっと孤独に育ったのではなかったかと。

 そうでなければ、どうしてああまで見ていて辛くなるような人間に成長してしまったのか、説明がつかない。
 沢山の兄弟は、裏を返せば彼自身の存在を家族の中で希薄にしていたかもしれない。
 だとしたなら、上杉に来てからの……養子として謙信公に受け入れられてからの彼の言動も、その後の行動も理解が出来た。

 きっと彼は越後の地で、謙信公の下でようやく呼吸をすることができたのだろう。

 遠い昔、まだ敵同士にもなっていなかった頃、謙信公の花畑で見た柔らかな微笑を思い出しながら直江は思う。

 彼はずっと、そうしてひっそりと隠して来たのだろうと。

 一番柔らかで温かなものを。

 そして、それを今生で自分に与えてくれたのだとも。

 直江は机の上の銃を見つめた。

「晴家…やはり神とやらは居るのかもしれないな。そして人間に平等に、与えられなかったものを後からちゃんと配っているのかもしれない……」

 そんな夢みたいなことを言えば、晴家はそうねと笑った。

『私、もう二度とあの夢を見ないような気がする。これって都合のいい方に逃げてると思う?』

 控えめに問うから、直江は即答した。

「いいや、晴家、それでいいんだと思う。もう自分を責めなくてもいいんだと。きっと、高耶さんも思っているさ……」

 言ってから、随分と明るい方に考えている自分に驚いた。

 少し前まで、自分はそうやって破滅的な方に考えて、それを晴家に否定してもらって安心していたというのに……。

『よかった……』
「晴家?」

 そんな自分に気付いて驚いていた直江に、安心したような晴家の呟きが漏れて直江は首を傾ける。

『あの日…景虎の魂の欠片が無くなった日から直江、ずっと投げやりだったから。景虎への想いに囚われすぎてて、自分の命を生きていなかった。闇戦国の後処理だけに一生遣い切りそうな雰囲気だったから……』

「……」

 言われて、言葉を失くした。

 確かに後悔ばかりの毎日だった。
 そして、彼の思いを継いで一生をそのためだけに費やして生きようと思っていた。
 自分の命なんて、高耶が居なくなってしまった時に、一緒に費えてしまったのだから。
 そのことについては後悔も、迷いもしていなかった。

『直江…景虎のことが大切で、どうしようもないのは分かってるんだけれど、だったら尚更自分のこと大事にしなきゃ駄目よ? 彼のことを愛したのなら尚更。自分を粗末にしないで。だってそんな粗末な自分で、愛したら景虎に失礼でしょ?』
「……」

 言われて初めて気付いた。

 確かにそうなのかもしれない。

 いや、そうだったのだ。


 言われて、不意に蘇えるのは、高耶の怒った顔だった。

 いつも、いつも。
 彼を守り、身を盾にする度に高耶はそう言って怒っていたのだから。

「晴家。お前は凄いな……」

 どんな時も見透かすような彼女の言葉に、素直にそう思った。

『褒めてくれるの?』
「勿論。本当に、お前は凄いな……」

 言えば晴家は声を上げて笑った。
 本当に嬉しそうに。

 真夜中の電話でこんな風に笑ったことなど、一度もなかった。
 いつも昏く沈み傷を舐め合うための電話だった。

 互いに慰め合ってばかりいた。

 馬鹿なことをしていたと、今なら思える。

 別に忘れたわけではない。

 あの静かな陽だまりの中で、密やかに息を引き取った人のことを。

 あの時に感じた痛み。

 涙が出そうなほどの切なさ。

 小さな欠片が消えてしまった日の朝の慟哭を、忘れた訳ではない。

 ただ、乗り越えただけ。

 この想いを抱えたままでも、笑うことはできるのだと。

 記憶の中の高耶と共に、自分は笑える。


 そうして、
 真夜中に二人は沢山の楽しい話をして、初めて声を上げて笑いあったのだ―――。





――――――――――――――――――

お待たせいたしました。
出来上がっていたにも関わらず、延期し続けていたepisode15です。
ようやく公開。
ついでにここ一週間の体調と、自転車の転倒事故で少し壊れ気味ですが、
こんな時だからこそと、何とかUPです。

で……えーと、詳しい裏話などは後日記入したいと思います。
(転倒事故の打撲と、筋肉痛と、風邪薬と、胃腸薬とで意識朦朧。
考えが纏まりません/涙……医者行くかな…やっぱ。保険大丈夫か?)
では。

なお、次回からは書き下ろし……。
とは言え、ちょっとまたもう少し後になりそうです(涙)
この体調じゃね…集中力も考えも長時間纏まらないので……。(泣)

2008年5月24日 (土)

(涙)

唐突ですが……柊、自転車の自爆事故しました(涙)

と書くと飛んでもなく大事のようですが。
要は自転車で止まっていたものに勝手に突っ込んだというお話。
けど、アスファルトに思いっきり叩きつけられた上、
ハンドルで左の親指を打ちつけ、
頬まで擦り傷……。
な、何年ぶりだ?こんな運転したのは……。

朝、パプ●ンを飲んで、そのまま出勤しようと自転車を飛ばして……。
薬でほわほわしていたところに、余計なことを考えていたのが
原因なんですけどね……。
……なんで、田んぼのカエルの声を聞きながら
松尾芭蕉の句なんか思い出してたんだろう?
『古池や、蛙飛び込む水の音』って????
それから色々なことを考えて考えて、ハタとしたら、目の前に自転車!!!!!!
「@&*★!!!!!」
急ブレーキを掛けたのでそれほどのスピードではなかったんですけどね、
ぶつかりました(涙)
運が良かったのは、人がいなかったことと、
車が来なかったこと。
怪我したのは、柊だけ。
でも、痛い(涙)

その瞬間ふと思ったんですけど。
人間の脳みそって、ああいった瞬間どのくらい働くものなんでしょうか?
だって、ぶつかったのは本当に一瞬。
ちなみにその間考えたことは、
「何でブレーキがきかないんだぁっ!」(実際はきいていたけど、間に合わなかった)
「人、いないね?」
「車は大丈夫か?」
「何でこんなところに自転車があるのよ~っ(怒)」
「田んぼの作業してるんだぁっ。自転車どけとけよ(涙)」
「あああああああ。突っ込んだ自転車水路に落ちちゃうっ~~~」
「放置自転車? あ、カゴの中に荷物が一杯はいってる」
「田んぼ仕事じゃお弁当入ってんじゃん!!! お昼こまっちゃうよぉ」
「あ、私のバック大丈夫か?」
「足がつかないって、どうしてだぁあああ」(浮いてたらしい…)
「あ、手怪我したら1日の新刊が出来なくなっちゃう」
「やば、アスファルトっ!!! 顔ぶつかるっっ。手で防ぐか!? でも手怪我するっっ」
「遅刻したらどうしようっ(泣)」
「自転車倒れてくるっっっっっっ」
「ぎゃああああ」
「あ。ほっぺた擦った(涙)」
「血出たかな? 日焼けしたらヤバいぞ」
「地元の人間誰も見てるなぁぁあああああああ」
「……なんで気付かなかったんだ? あ、芭蕉か……」(アスファルトに寝そべりながら)
「あ、これ(小説の)ネタになる?」

―――以上。
ぶつかった瞬間の柊の思考でした。
これを瞬間的に鮮明に、はっきりと、考えて覚えているんだから、人間って凄い。
ついでに……なんでもネタにする自分も凄い(笑)
この後職場で少し軽いショック症状を起こして青くなってましたが。
ムチ打ち大丈夫だったろうな……今少し気持ち悪いのは
この事故が原因か?
それとも、体調崩しているのに食べた夕食の寿司が原因か?
でなければ、風邪薬のせいか?

原稿~(涙)
通販の準備~(泣)
明日の日曜日きちんと進めばいいのですが…。

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