カルテがなく血液製剤の投与証明が難しい患者で作る「カルテのない薬害C型肝炎の全員救済を求める新潟の会」(事務局・新潟市)に、同様の悩みを抱えた患者が続々と加入している。1月に成立した感染被害者救済法は救済対象を、裁判で血液製剤の投与事実が認められたケースに限定し、投与証明のない人は認めない。代表の佐藤静子さん(63)らは29日にも、ウイルス性肝炎患者全体を救済する法律や制度の確立を国会議員や政府関係者に訴える。【吉永磨美、岡田英】
同会によると、1月の発足以来、28都道府県から約600人が入会。大半はカルテなどの記録がない患者だ。
佐藤さんは95年3月にC型肝炎の感染が判明。06年7月に肝臓がんが見つかり手術した。感染原因と思われるのは、68年10月に東京都内の病院で次女を出産した時の診療。母子手帳には「子宮頸管(けいかん)裂傷、縫合」「出血量700ミリリットル、多量」とあり、看護師に止血剤を打たれた記憶がある。病院が廃院となり、カルテを入手できなかったが、08年2月に医師の勤務先が判明「フィブリノゲン製剤が使われた可能性がある」との証明書を書いてもらった。
佐藤さんは、がんの手術に約40万円かかった。1カ月約7万円かかるインターフェロン治療も1年半続けなければならない。「患者は年金暮らしが多く、高額な医療費は金銭的にも精神的にも大きな負担だ」と話す。
同会は、カルテの有無にかかわらず、血液製剤投与の可能性が高く、製剤以外に感染原因が考えられない場合には、国が薬害C型肝炎患者として認定することを求めている。佐藤さんは「元気で動けるうちに少しでも患者救済の道をつけたい」と話している。問い合わせは同会(090・2450・7153)。
毎日新聞 2008年5月28日 東京朝刊