「万進法がいい」と俺が言うと、ヤンさんは、
「それ何?」と言う。
俺は手近な紙に、書いてみせた。
──10,000-
「ヤンさん、これはいくら?」
「答えるのもあほくさい」
「だよね? じゃあ、これは?」
──100,000,000-
「ん? 百万……じゃないや、1千万?」
「ちゃんと数えてよ」
「んと……、あ、1億か。で?」
「おかしいでしょ、このカンマ」
「何が?」
「オーベーか、ペシっ!、でしょ、これ」
「何が?」
板前さんは判っていて、笑っている。
「欧米ではほれ、1,000が単位だから、1マンを表すのに、テン・サウザンズって言うでしょ?」
「そだけど、なにか?」
「1億ってのは、マンかけるマンだから、ジャパンではカンマ2つでいいわけですよ」
「あ!」
ヤンさんも気づいたようだ。
「で、ヤンさん、これは?」
──1,0000,0000-
「そっか! なるほど、一億だね」
「ですよね。マンのマンでもいいんですよ」
「ふむ」
「じゃ、これは?」
「それ何?」と言う。
俺は手近な紙に、書いてみせた。
「答えるのもあほくさい」
「だよね? じゃあ、これは?」
「ちゃんと数えてよ」
「んと……、あ、1億か。で?」
「おかしいでしょ、このカンマ」
「何が?」
「オーベーか、ペシっ!、でしょ、これ」
「何が?」
板前さんは判っていて、笑っている。
「欧米ではほれ、1,000が単位だから、1マンを表すのに、テン・サウザンズって言うでしょ?」
「そだけど、なにか?」
「1億ってのは、マンかけるマンだから、ジャパンではカンマ2つでいいわけですよ」
「あ!」
ヤンさんも気づいたようだ。
「ですよね。マンのマンでもいいんですよ」
「ふむ」
「じゃ、これは?」
「最初に100があってカンマで区切られて、マンのマンですよ?」
「あ、百億か」
「ですです。じゃ、これは?」
「そう言わずにさ。億の1万倍だよ」
「うるさいなあ。1兆かい」
「そういうことになるでしょ?」
「はいはい。なるほどね」