サイト規制:「有害」民間が判断…自民と民主が法案合意

 自民党と民主党は2日、18歳未満の子供をインターネットの有害サイトから守るための議員立法の共同法案の修正協議で合意した。両党の党内手続きを経て、今週中に衆院の「青少年問題に関する特別委員会」に委員長提案として提出し、今国会で成立する見通し。有害情報の選別をめぐり、「国の一定の関与が必要だ」とする自民党と、「民間の自主的な対応に委ねるべきだ」とする民主党の間で意見が対立し、調整が難航したが、最終的に国が関与せず、民間の第三者機関に任せることで自民党が妥協し、決着した。

 法案は携帯電話会社に対し、子供がネットで有害情報を閲覧できないようにするフィルタリング(閲覧制限)サービスの提供を義務づける。パソコンメーカーには、フィルタリングソフトの組み込みを義務づける。出会い系サイトなど有害サイトに絡み、子供が事件に巻き込まれるケースが全国的に多発していることから、与野党が共同で法案を提出し、今国会で成立を図ることで実効性のある対策を目指す。ただし、罰則は設けない。

 焦点となった「何が有害情報に当たるか」の選別基準は、憲法が定める「表現の自由」に配慮し、民間の第三者機関が策定する。当初の自民党案では、国が指定した民間の第三者機関が選別基準を作るとしており、国の規制色が強かった。しかし、ネット関連業界が「実質的に国の情報統制にあたる」と強く反発したことから、修正案では国の関与を排除した。

 ただし、フィルタリングの機能向上や技術開発などについては、民間団体が国に登録し、情報交換を円滑に進めることなども盛り込んだ。

 同法案は有害情報について(1)著しく性的感情を刺激する(2)著しく残虐性を助長する(3)著しく自殺や犯罪を誘発する--などを例示したが、何が有害で健全かの判断は第三者機関に委ねる。【前川雅俊】

 ◇フィルタリング

 出会い系サイトや自殺サイトなどインターネット上の有害サイトを閲覧できないようにするシステム。今国会で法案が成立すれば、18歳未満の子供は既に契約済みの子供を含み、フィルタリングが義務づけられ、パソコンメーカーは出荷段階でフィルタリングの専用ソフトを装着しなければならなくなる。携帯電話各社は今年1月以降、18歳未満の子供が新たに契約する場合に親が「不要」と申し出ない限り、原則としてフィルタリングを自主的に装着している。

毎日新聞 2008年6月2日 21時18分(最終更新 6月3日 11時39分)

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