今国会での成立を目指し自民、民主など4与野党が合意した18歳未満の青少年に対する有害なインターネット情報を規制する法案に対し、ネットや学校の関係者から「過剰規制の恐れがある」との声があがっている。法案は「処刑など著しく残虐な情報」も有害情報と定義しており、戦場や紛争地での記事や写真も規制されかねないからだ。
自公民共4与野党の実務者が2日に合意したのは「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案」。法案は6日、衆院に提出される。
法案では有害情報を「青少年の健全な成長を著しく阻害するものをいう」と定義し▽犯罪や自殺を誘引する情報▽著しく性欲を興奮させる情報▽殺人、処刑、虐待など著しく残虐な情報−−などを例示した。
サイト管理者は有害情報が掲載されていると知ったときは、フィルタリングソフトを導入するなど青少年が閲覧できないような措置を講じなければならない仕組みを初めて法制化した。報道分野も除外していない。
これに対して楽天は3日「有害情報の定義のあいまいさは解消できない。閲覧防止措置等の努力義務を(事業者に)課すことは表現の自由の侵害の恐れが高い」と懸念を示す声明を出した。
新聞各社のニュースを配信している検索サービス大手、ヤフーの別所直哉法務部長は「定義が広いために、有害情報の線引きは難しく、空襲の被害者や戦場での犠牲者を写した報道写真も有害情報に該当する恐れもある」と話す。
全国高等学校PTA連合会の高橋正夫会長も「フィルタリングソフトで何を見せないかの考え方は各家庭によって異なる。国が家庭内の教育に口を挟むのはおかしい」と疑問を呈する。【柴沼均、臺宏士】
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