見附市で06年9月、運搬中のボイラーが転倒し作業員3人が死傷した事故で、労働安全衛生法違反の罪に問われた柏崎市の配管業の男性被告(56)が5日、新潟簡裁長岡支部での公判に遅刻、裁判官の叱責(しっせき)を受けた。罰金を科す略式手続きを良しとせず、正式裁判を求めた被告に対し、岡田健彦裁判官は「いいかげんにしてください」と厳重注意。被告は「(公判の)日付を間違えました」とうつむいて弁解した。
事故は、見附市の染色工場に運んだ重さ約2・8トンのボイラーが倒れて男性3人が下敷きになり2人が死亡、1人が重傷を負った。起訴状によると被告は作業手順を指示せず、責任者として必要な安全管理を怠った。
当初は業務上過失致死容疑で書類送検されたが、地検は不起訴とし、労働安全衛生法違反で略式請求。被告はこれに不服を申し立て、正式裁判を選択した。
ところが、被告は5日の第2回公判で定刻に現れず、弁護士が法廷から連絡を取ると、「翌日だと思い」長岡市内で仕事をしていたという。
30分遅れて出廷した被告に対し、岡田裁判官は「正式裁判を受けたいと言ったのはあなたじゃないですか!」と問いただした。
被告の弁護士は「裁判に影響はないと思うが、決していいことではない」と苦々しそうだった。【五十嵐和大】
毎日新聞 2008年6月6日 地方版