地図でも知っていたし、通りかかることもあった。
たまに妻がパンやハムなどを買ってきては、やたらと首を傾げて興奮していた。
今夜、なんとなく皿うどんか堅やきそばを作りたくなったので、そのむね妻に言うと、
「じゃあ、LONLON行ってくるね」と言いながら、少しだけ気が重そうだった。
「たまには俺が行くよ」とは言うものの、俺はLONLONへは妻と二人、一度行ったきりなのだ。
品揃えはあるのだが、なんせ人が多い。
それと、妻に言わせれば、
「どうしてこの街の人が、台所をまかなっているか謎」というくらいまあ、デパート値段なのだ。
俺が一人でおつかいに行くとすれば、近場の東急。
これもデパート値段だが、まあ、買いにくいこともない。
憎々しく言えば、廉価な食材なんかはなくて、たとえばオリーブオイルだけでも何種類もあるくせに、おなじみの安いのがなかったりする。
妻がフウフウいいながらたまに買い出しにいくのが駅の向こうの西友。
ここはまあ、ふつうのスーパーだ。
子供らにおつかいに行かせるのは、これも近所の100円ローソン。
俺も一度行ったことがあるが、実に便利な店だ。
で、
「皿うどんの、あの余計な粉末タレがついてないメンだけないかな」と俺が言うと、
「紀伊国屋に行ってみてよ」と妻が言う。
何かを見せたいらしいのだな。
行ってみた。
広々とした駐車場に、車がぽつりぽつり。
ジャガー、ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン×2。
笑っちゃうような構成なのだが、この6台だった。
店の中は、LONLONとは逆で、しーんとしている。
店員さんの方が多いくらいだ。
「皿うどんを作りたいのだけど、揚げメンはどこにありますか?」
「それならば、こちらです」
2食が1パックになったメンが、細いのと太いのと、2種類あった。
それぞれ1パックずつ買い求めたのだが、こいつの値段がそれぞれ、500円近い。
誰に向かってではないが、笑った。
片栗粉が家にないので、それを求めようとすると、4種類もある。
これが200円近い。
あと、頼まれていた醤油──こないだ100円ローソンで1リットル100円のを買ったのだが、妻はそのノーブランドの醤油を気味悪がって使わなかった(その後、煮豚のたれに使ったが、別に普通だったよ)。
これが、徳用ボトルなんてなくて、1リットルで600円くらいするような、丸大豆だの減塩だの、小難しいのが並んでいる。
やきそばのために、冷凍のエビを買おうと思った。
手のひらサイズのパッケージが、600円とかなので、冗談半分そばの店員さんに、
「これが、この値段の、モルジブのエビなの?」
「はい。いつもありがとうございます」
「いつもじゃなくて、初めてなんだ」
「では今後、ありがとうございます」
関係ないが肉のコーナーを見て、また一人で笑った。
1,580円とか、3,880円などと札が出ているが、それはもちろんのように100グラム単位の値段だ。
こちとらこないだLONLONで、100グラム88円の切り落とし肉を見つけてからは、大喜びで1キロ単位で買っているのだが(デンマーク産の豚肩ロース──これがうまいのだよ)。
メンとしょうゆと片栗粉とえびで、2,500円消えた。
たまに妻がパンやハムなどを買ってきては、やたらと首を傾げて興奮していた。
「じゃあ、LONLON行ってくるね」と言いながら、少しだけ気が重そうだった。
「たまには俺が行くよ」とは言うものの、俺はLONLONへは妻と二人、一度行ったきりなのだ。
品揃えはあるのだが、なんせ人が多い。
それと、妻に言わせれば、
「どうしてこの街の人が、台所をまかなっているか謎」というくらいまあ、デパート値段なのだ。
これもデパート値段だが、まあ、買いにくいこともない。
憎々しく言えば、廉価な食材なんかはなくて、たとえばオリーブオイルだけでも何種類もあるくせに、おなじみの安いのがなかったりする。
妻がフウフウいいながらたまに買い出しにいくのが駅の向こうの西友。
ここはまあ、ふつうのスーパーだ。
子供らにおつかいに行かせるのは、これも近所の100円ローソン。
俺も一度行ったことがあるが、実に便利な店だ。
「皿うどんの、あの余計な粉末タレがついてないメンだけないかな」と俺が言うと、
「紀伊国屋に行ってみてよ」と妻が言う。
何かを見せたいらしいのだな。
広々とした駐車場に、車がぽつりぽつり。
ジャガー、ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン×2。
笑っちゃうような構成なのだが、この6台だった。
店の中は、LONLONとは逆で、しーんとしている。
店員さんの方が多いくらいだ。
「皿うどんを作りたいのだけど、揚げメンはどこにありますか?」
「それならば、こちらです」
2食が1パックになったメンが、細いのと太いのと、2種類あった。
それぞれ1パックずつ買い求めたのだが、こいつの値段がそれぞれ、500円近い。
誰に向かってではないが、笑った。
片栗粉が家にないので、それを求めようとすると、4種類もある。
これが200円近い。
あと、頼まれていた醤油──こないだ100円ローソンで1リットル100円のを買ったのだが、妻はそのノーブランドの醤油を気味悪がって使わなかった(その後、煮豚のたれに使ったが、別に普通だったよ)。
これが、徳用ボトルなんてなくて、1リットルで600円くらいするような、丸大豆だの減塩だの、小難しいのが並んでいる。
やきそばのために、冷凍のエビを買おうと思った。
手のひらサイズのパッケージが、600円とかなので、冗談半分そばの店員さんに、
「これが、この値段の、モルジブのエビなの?」
「はい。いつもありがとうございます」
「いつもじゃなくて、初めてなんだ」
「では今後、ありがとうございます」
1,580円とか、3,880円などと札が出ているが、それはもちろんのように100グラム単位の値段だ。
こちとらこないだLONLONで、100グラム88円の切り落とし肉を見つけてからは、大喜びで1キロ単位で買っているのだが(デンマーク産の豚肩ロース──これがうまいのだよ)。
ま、いけてるバーでウイスキーの3杯も飲めば、そんなもんだからいいんだけど。
面白いなあと思った。
また紀伊国屋に行くか、と問われれば、行きたいと思う。
買ったものは、レジとは別の店員さんが、かっちりした《紙袋》に納めてくれる。「お醤油を、横にして入れてよろしいですか?」
「ええもちろん」
お金持ちになれば、また行きたいさ。
けどきっとお金持ちは、自分でスーパーなんて行かないだろうけど。
タイトルは、The Clashの曲名なり。
僕が紀伊国屋ですべてを失ったなんてわけではない。
僕が紀伊国屋ですべてを失ったなんてわけではない。
縦横うんぬん以前に、重みで……嗚呼!
そこは外国ですか。
東京に引っ越しされたのですね。私は大阪、紀伊國屋と見ると書店が思い浮かびます。
ご家族のみなさん、どうぞ無理をせず!