政府の規制改革会議(議長=草刈隆郎・日本郵船会長)は6月5日、同会議が昨年度中の規制緩和措置を各省庁に求めていた事項のうち、対応が不十分なものに対する見解をまとめた。抜本見直しを求めていた社会保険診療報酬支払基金(支払基金)の診療報酬明細書(レセプト)の審査・支払い業務については、「見直しが全く行われていない」とし、最低ランクの評価を下した。医療関連の規制緩和を検討する「医療タスクフォース」の松井道夫主査(松井証券社長)は、「これで国民が黙っていると思うのか」と不満をあらわにした。
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見解は、各省庁に昨年度中の規制緩和措置を求めていた95項目のうち、対応が不十分なものとしてピックアップした20項目についてまとめた。医療関連では、支払基金の業務効率化のほか、「医師と他の医療従事者との役割分担の見直し」や「医療従事者の派遣拡大」など3項目を挙げている。
医療機関からのレセプトは現在、原則として支払基金や国民健康保険組合連合会(国保連)によるチェック・審査を経て各保険者に請求され、保険者は、審査結果を踏まえた医療費を医療機関に支払う仕組み。支払基金でのチェック・審査業務は、5000人以上の職員らによる“人海戦術”で実施されている。同会議は、支払基金と国保連の審査・支払い業務では、人件費などの予算は年間2000億円規模に達すると推計している。
医療機関からのレセプト請求は2011年度までに完全オンライン化されることが決まっており、同会議では、これを前提に審査業務などの抜本改革を行えば、支払基金だけで人件費などを大幅に削減できるとし、数値目標を明示した業務効率化計画を昨年中に提出するよう厚生労働省に求めていた。
5日にまとめた見解の中で同会議は、厚労省による計画について、「人員計画については退職による自然減以上の減少を見込まないというもの」「業務フローの抜本的な見直しは全く行われていない」などと指摘。松井主査は「後期高齢者医療を含めて国民の負担が上がる中で、誰が考えても効率化できる部分を無視している。これで国民が納得できると思うのか」と怒りをあらわにした。
草刈議長は社会保障費の伸びの年2200億円の圧縮に触れ、「大変だろうが、こういう(無駄な)部分がもっとある。国保連はこれ(支払基金)よりスケールが大きいから、両方を合理化すれば相当程度、無駄を排除できる。財政のプラスにもなる」と述べた。
更新:2008/06/05 23:05 キャリアブレイン
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08/05/23配信
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