以下の内容は"水戸"からの情報です。原子力機構(原研とサイクル機構の統合組織)の図書館には約300万冊の報告書・蔵書があります。同規模の二つの組織からなる図書館ですから、桜井淳所長が勤務した原研図書館の報告書・蔵書数は約半分の約150万冊と推定されます。東大には研究室・図書室・図書館に約850万冊の蔵書があります。そのうち、閲覧可能なのは約50万冊だけです。原子力機構の蔵書数は東大のそれの6分の1です。東大は、総合大学であり、原子力機構は、原子力に限定されているため、両者の組織・予算規模からして、このくらいの差があっても不思議ではありません。しかし、桜井所長の実際の利用経験に拠れば、原研の図書館は、規模も小さく、理工系に偏りすぎ、原子力にかかわる社会科学系の基本的文献もなく、まったく役に立たないそうです。桜井所長は、原子力学会会合等に出席するため、上京する時には、午前中の3時間は、東大本郷キャンパスの赤門正面の建物の総合図書館を利用しているそうです。桜井所長の経験に拠れば、米国の超一流大学の図書館は、もっと充実しており、日本の図書館の貧弱さに深く失望したそうです。
以下の内容は"水戸"からの情報です。桜井淳所長は、昨年初春、原子力学会研究専門委員会(桜井主査)の調査活動の一環として、茨城県那珂郡東海村の原子力機構原子力科学研究所サイトに建設中のJ-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)の見学をしたそうです。施設は、一番作業が進んでいた400MeV陽子線形加速器が試運転を開始しており、3GeV陽子シンクロトロンが最終的な組み立て調整中、物質・生命科学実験施設が建設中、50GeV陽子シンクロトロンが建設中だったそうです。400MeV陽子線形加速器で加速された陽子ビームの半分の333μAが3GeV陽子シンクロトロンに入射され、加速された陽子ビームの15μAだけが50GeV陽子シンクロトロンへ、残りの大部分が物質・生命科学実験施設の水銀ターゲットに照射され、水銀の核破砕反応で大量の中性子を発生させるそうです。最近の新聞報道によれば、すでに、試験的に、核破砕反応で中性子を発生させています。桜井所長が見学した時、その大きな施設は、完成直前で、施設の中に大型ホットラボ(Hot Lab., Hotは放射能と訳す)のような構造をした数台のマニュピュレータ付のコンクリート遮蔽構造物が有り、その中の中心に、水銀ターゲットが設置されていたそうです。その施設の遮蔽設計はモンテカルロ法でなされたそうです。桜井所長は施設とターゲット遮蔽構造物の大きさに驚いたそうです。水銀の核破砕反応では、原子炉よりも、より強い高い中性子ビームが利用でき、中性子科学だけでなく、タンパク質構造研究や生命科学研究の効果的なプローブになるそうです。桜井所長が見学した時には、すでに、共同利用のための大学等の研究施設も設置中だったそうです。定格試運転後、同施設は、近い将来、強力中性子源として多目的利用されるそうです。