NHK改革の焦点になっていた受信料値下げ論議が、立ち消えになっている。次期経営計画の策定期限が9月下旬に迫っているにもかかわらず、事実上議論はストップ。代わって高齢者を対象に割引、免除する案が急浮上している。突然ともいえる“転換”に内部からも「議論そのものが消えたのでは不可解に映るのでは」との声が出ている。
5日、会見したNHKの福地茂雄会長は、値下げ問題について、「3年、5年先の施策を見通して、それをまず抑えなければならない。一律の値下げはいかがなものか」と難色を示した。
値下げをめぐっては昨年1月、菅義偉総務相(当時)が2割減額を求めたことで、改革の焦点に浮上。昨年9月、橋本元一前会長ら前執行部が経営計画案に月額50〜100円の値下げを盛り込んだが、最高意思決定機関のNHK経営委員会は、「(改革次第で)視聴者の理解が得られる程度の値下げが可能」と不十分との見方を示し、次期計画の“宿題”となっていた。
ところが、今月3日の衆院総務委員会で、福地会長は、年金の財源不足や大地震発生後の受信料免除などを挙げ、一律値下げに慎重な考えを表明。「受信料を下げるなら、弱者中心のものを重点的に考える」と高齢者割引など、限定的な値下げを検討するとの方針を打ち出した。
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